4話 連携
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深夜。
裏路地で数人の男がヒソヒソと話し合っている。どの男も肌が若干緑になっており、耳も尖っている。おそらく魔人の中でも最も多いゴブリンの魔人だろう。
距離は約数百メートル。会話までは聞き取れない。隣で腹這いになっているウルキアを見る。普段はない猫耳がピンと生えている。僕もウルキアも夜目がきくので男たちの姿はハッキリと見える。
僕とウルキアは貧民街の屋根の上から男たちを観察していた。ボスからは「連携とか高めとけよ〜」と言われたものの、雑用を押し付けられたような感じだ。
ゴブリンの魔人は正直言って微妙だ。聴力・腕力・視力などが強化されはするが、若干程度でさして強力ではない。
ウルキアも僕も一等監視官だ。まぁそこそこ強くて偉い?地位だ。これくらいならすぐに片付くだろう。
内容としては、まず会話を聞き「何をしようとしているのか」、「人数はこれで全員か」、「どのようにして実行するのか」、「なぜ行おうと思ったのか」などなどの情報を集めてから捕まえる。
ウルキアはしばらくすると「動くようです」と言った。
「何をするって?」
「馬鹿ですね、彼ら。防衛局から情報を盗むとか言ってますよ。ただ、肝心の情報の売り先を話していないので捕まえてから尋問ですかね」
「ん、分かった。じゃぁ行くけど…僕が最初に奇襲するからウルキアはその後に散らばって逃げそうな奴ら捕まえてくれる?」
「分かりました」
僕とウルキアは屋根づたいに男たちの近くまで行き、僕はリーダーらしい男に上から飛びつき首を絞めた。
ーードサッ!
「なっ!?こいつどこからっ!」
リーダー格の男が気絶したのを確認し、次の男に飛びかかる。幾人かの男たちはナイフなどを取り出し反抗しようとしているが残りの男たちは持っていた荷物を持って逃げ出した。
が、逃げ道をウルキアが塞いだ。そのまま長い爪で先頭を走っていた男の顔面を引っ掻き足を止めさせた。男たちは身動きが取れなくなった。
「僕たちは魔人管理局のものです。今降伏すれば最低限の安全は保証しますよ」
僕がそう言って男たちに近寄ると一人の男がナイフで僕を刺した。いや刺そうとした。
ーーーカキーンッ!
硬質な音を立ててナイフが壊れた。
「ヤベェよ…こいつ上位の魔人だ!」
一人の男が僕のことを指さしながら叫んだ。きっと今僕の顔には鱗が出現していることだろう。ナイフごときじゃ僕の体に傷をつけることはできない。
男たちは完全に萎縮してしばらく話し合った後、「降参です…」と言った。
ウルキアは懐から縄を取り出し男たちを縛っていった。僕たちはそのまま近くで巡回していた他の局員に連絡を取り、一緒に局に併設された魔人を勾留する施設に男たちを連れて行った。
ウルキアは「敵が随分と弱かったですね」と言っていたが、戦闘もかなり出来そうな身のこなしだった。
局員があの男たちを尋問したそうだが金が欲しかったから依頼を受けたということやその他大したことではないことは聞き出せた。が、情報を誰に売るつもりだったのか、本人たちも相手のことを良く知らなかったらしい。




