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2話 偏見

     ◆◆◆◆ウルキア◆◆◆◆


 私の名前はウルキア・ウェハードだ。私は今、かなりイラついている。なぜかって?この隣の男のせいよ。

 

 彼はつい先ほど合同で任務を行うことになったばかり。でも、私は情報収集が得意だ。だから、私は知っている。


 この男は卑怯者ってこと。魔人管理局に応募しているのは毎年人間・魔人合わせて二百人くらい。そのうち受かるのは十数人。魔人管理局と言っても魔人と争いになることが多いのだから、魔人は優遇されやすい。


 別に彼が魔人だからって僻んでるわけじゃない。私自身猫系魔人だし。だけど彼は魔人の中でも最上級の火竜の魔人。応募した時点でほぼ合格が確定する。まぁ彼はそれ以前の問題だった。


 彼は孤児で五歳の頃からこの局で保護されていたらしい。そして十二になった時から主に対魔人の戦闘を主として活躍してきた。


 本人はなんとも思ってなさそうだけど、局にそこそこ前からいる人たちは彼を実の子供のように思っているよう。


 私、いや、私のような局員はこの魔人管理局に受かるために、何年も努力を続けてきた。受からなかった時は終わりに近い。失敗すれば冒険者などになるしかないだろう。私には、彼のように私を家族のように思ってくれる人はいない。


 なのに彼はーー「ずるいです」。


 ぽつりと呟く。


「ん、ウルキアさんどうしたの?」


「…私は合同で任務を受けろと言われたからあなたと一緒にいるのであって、あなたのことは大嫌いですから」


「うえっ!?どうして!?僕何かした!?」


「私に直接危害か何かを加えたかと言う点ではあなたは何もしていません」


「うん、それじゃなんで?」


 そう言って私の顔を覗き込んできた。改めてこれの顔を見るとこれもイラつくほどに整っている。彼と私はかなり対照的だ。性格も、見た目も。


 私は紺の長髪に青い瞳。これでも美人な方だと自負している。それでも彼の方が美しい。容姿は武器だ。色仕掛けに引っかかって情報を吐いた奴は今までごまんといた。


 彼の見た目なら男にも女にも使えそうだ。黒の髪は私と違ってどこか暖かみを感じる。瞳もオレンジで、全体的にまるで夏を体現したような人だった。身長は平均よりやや高いくらいだろうか。体格もほどほどだし、やはりどちらもいけそうだ。


 私は彼のことを世間的に言えば「失礼」な目で見ている。彼もそのことに気がついたらしい。


「ウルキアさん、なんで僕のこと見るの?」


「あなただって私の顔を見てきたじゃないですか。

あと、これからさん付けはやめてください。一ヶ月後から同じ村から出てきた幼馴染として入学するんですよ。さんはいささか変でしょう」


「そっか。まぁいつでもさんは取っ払えるけど…。わかったよ、ウルキア」


 対照的、だからこそ合同で任務にあたるのだろう。私は情報管理にだけ集中していれば良いのだ。彼と馴れ合う必要はない。コミュニケーションも最低限だけでいいはず。


 …それにしても、見下ろされるのが腹が立つ。私は女子にしては身長が高い方なのに…。


「それでは、あなたに私の連絡番号を渡しておきますので、暇な時にでも打ち合わせをしましょう。それまでに生徒や教員・地理などを全て頭に入れてきてくださいね。戦闘が得意とはいえ、あなたも監視員なんですから、できますよね?」


「もちろん」


 そう言って彼は去っていった。私はそのまま食堂にでも向かおうと思い、彼に背を向けた。

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