心のささくれ~クリスマスプレゼントは「かぼちゃ〇イン」と茶皮のふで箱~
よい子は真似しちゃ、ダメだぞ~。
クリスマス、子どもは誰もがソワソワする時期である。
欲しい玩具を胸に秘め、心待ち遠しくその日が来るのを願う。
私もそんな純真な子どもだった。
一方でサンタさんの存在に懐疑的な自分がいた。
そんな小学生高学年のクリスマスの朝。
家は枕元にプレゼントが置いてあるのが毎年の習慣だった。
この日も例にもれず、枕の横にプレゼントがあった。
私は嬉々として、プレゼントを持った。
しかし、包装された袋の重さと感触が願うものと違う。
私が欲しいと思ったのは、ゲームウォッチ(当時人気の携帯ゲーム)のはずだ。
悪い予感がして、包装紙を破って、中身を取り出す。
「!」
衝撃が全身を包んだ。
それは私が望んでいたものとは似ても似つかぬ物・・・漫画「かぼちゃ〇イン」の単行本(3巻だったかな?さだかではないけど何故1巻ではない?)一冊と、渋い茶皮の筆箱(筆箱にしても、ここは五段でしょ)があった。
呆然とするのと、ふつふつと怒りが込み上げてきた。
なんでコレ?何このチョイス!
私は肩を怒らせながら、両親に詰め寄る。
「これなん?」
「ん?」
「これ違う」
「・・・サンタさんだって、間違うことあるわよ」
「サンタさんなら間違えん」
「・・・そうね」
「俺、ゲームウォッチば欲しかった」
「なら言わんとね」
母はぼそっと呟いた。
「サンタさんは言わんでも分かるもん。サンタはお父さん、お母さんやろっ!」
私は叫んだ。
その時、ばんっと食卓の机が叩かれる。
「そうたい!お前が欲しかもんば言わんけんが!」
父がもの凄い剣幕で怒鳴る。
「・・・だって」
私は悔しさで涙を滲ませる。
「・・・・・・」
隣では、それまでプレゼントを貰って喜んでいた妹が固まっていた。
ごめんな~。
よい子は分かっていても黙っておくこと、欲しいものは、ちゃんと伝えること。
心のささくれ、またひとつ。
心のささくれ、またひとつ。
曖昧な所は創作で補ってます。