表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。

心のささくれ

心のささくれ~クリスマスプレゼントは「かぼちゃ〇イン」と茶皮のふで箱~

作者: 山本大介

 よい子は真似しちゃ、ダメだぞ~。


 クリスマス、子どもは誰もがソワソワする時期である。

 欲しい玩具を胸に秘め、心待ち遠しくその日が来るのを願う。

 私もそんな純真な子どもだった。

 一方でサンタさんの存在に懐疑的な自分がいた。

 そんな小学生高学年のクリスマスの朝。


 (うち)は枕元にプレゼントが置いてあるのが毎年の習慣だった。

 この日も例にもれず、枕の横にプレゼントがあった。

 私は嬉々として、プレゼントを持った。

 しかし、包装された袋の重さと感触が願うものと違う。

 私が欲しいと思ったのは、ゲームウォッチ(当時人気の携帯ゲーム)のはずだ。


 悪い予感がして、包装紙を破って、中身を取り出す。


「!」


 衝撃が全身を包んだ。


 それは私が望んでいたものとは似ても似つかぬ物・・・漫画「かぼちゃ〇イン」の単行本(3巻だったかな?さだかではないけど何故1巻ではない?)一冊と、渋い茶皮の筆箱(筆箱にしても、ここは五段でしょ)があった。


 呆然とするのと、ふつふつと怒りが込み上げてきた。

 なんでコレ?何このチョイス!

 私は肩を怒らせながら、両親に詰め寄る。


「これなん?」


「ん?」


「これ違う」


「・・・サンタさんだって、間違うことあるわよ」


「サンタさんなら間違えん」


「・・・そうね」


「俺、ゲームウォッチば欲しかった」


「なら言わんとね」


 母はぼそっと呟いた。


「サンタさんは言わんでも分かるもん。サンタはお父さん、お母さんやろっ!」


 私は叫んだ。

 その時、ばんっと食卓の机が叩かれる。


「そうたい!お前が欲しかもんば言わんけんが!」


 父がもの凄い剣幕で怒鳴る。



「・・・だって」

 

 私は悔しさで涙を滲ませる。

 

「・・・・・・」


 隣では、それまでプレゼントを貰って喜んでいた妹が固まっていた。

 ごめんな~。


 よい子は分かっていても黙っておくこと、欲しいものは、ちゃんと伝えること。

 

 心のささくれ、またひとつ。



 心のささくれ、またひとつ。


 曖昧な所は創作で補ってます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 今ではインターネットが普及して、もはやサンタを純粋に信じている子どもは大分減ったんじゃないんですか? だから欲しい物は貪欲に主張しないと手に入らないことも承知でしょう。 俺の場合は最初から…
[一言]  私もサンタさんにプレゼントされましたよ、『かぼちゃワ〇ン 3巻』。ウチの場合、サンタ=じいちゃんだったのですが。なぜ3巻!? 1巻は!? んでもって、私、女の子だ! (せめて少女マンガにし…
[一言] よく「いくつまでサンタさんを信じてた?」と言う質問がありますが、我が家は最初っから「サンタさん=両親」でした。 「サンタさんは忙しくて全部の家回れないから、お母さんやお父さんが代わりにプレゼ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ