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夜明けの続唱歌  作者: hidden
序章
1/37

導入

 澄んだ空に抱かれた宵闇(よいやみ)は次第に深まっていく。

 緩やかに流れる雲間からは時折、まばゆい琥珀(こはく)色の月が覗いていた。

 すべての終わりとはじまりの夜。


 燭台(しょくだい)(あか)りが揺曳(ようえい)する、薄暗い部屋。


 壁面には(つた)がはびこり、おぼろげに照らされた卓には、積みあげられた古書のほか、埃で覆われた頭蓋骨、炎の揺らめきを受けて妖しく輝く(たま)など、用途の不明なものがあれこれと散乱している。


 音もなく歩み寄った()の者は、雑多な卓上の隙間を無造作に押し広げ、脇に抱えていた箱と、鈍色(にびいろ)をした環状(かんじょう)の器具を置いた。

 軽く咳払いをし、箱の側面にある鍵を、確かめるような仕草で開錠する。

 (きし)む音を響かせ開かれた箱には、黒い塊が納められていた。


 薄い手袋を着けて慎重に取り出し、それを器具にかざして反応を見つめる。

 彼の者の口もとには、かすかに喜色(きしょく)の笑みが浮かんでいた。


 すべての終わりとはじまりの夜。

 夜は、ただ静かに()けていった。


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