冒険者ギルド
冒険者ギルドへの道のりは聞くまでもなかった。この世界の文字がなぜか読めるのだ。そのおかげで街の看板にギルドの方向が書いてあることがわかった。
ギルドへいく道中で、ここが地球ではないことがわかった。頭に猫や犬の耳がついている人や、頭にツノがある人など、地球では見たことも聞いたこともない人(?)達がたくさんいたからだ。さらに、街の建物は主に木と石で作られていて、何より魔法らしきものがたくさん使われていて、手から水を出して飲んだり、火を出してものを焼いたりしている人がいたからだ。
看板を見ながら歩いていると、だんだん人通りが多くなってきて、目の前に大きな建物が見えた。石造りで、他の建物よりドアが大きく、そこをたくさんの人が出入りしている。中に入ると、朝から酒を飲んでいる人や、剣を磨いてる人など、いろんな人がいた。
とりあえず受付に行くと、綺麗な女の人が
「おはようございます。用件をお伺いします。」
「えーと、冒険者になりたくて...」
「登録ですね。この紙に必要事項を記入してください。文字は書けますか?代筆も可能ですが。」
読むことはできるが、書けるかは不安だったので
「すいません。代筆をお願いしてももいいですか?」
「はい、わかりました。では最初にお名前と年齢を教えてもらってよろしいでしょうか」
「名前はシノブで17才です」
「得意な武器や魔法はありますか?」
「...あの〜それって言わなきゃだめですか?」
「いえ、教えたくないという人もいますので。」
「じゃあ空欄でお願いします。」
「わかりました。これで登録は完了です。カードを発行しますので少々お待ちください。」
少し待っていると
「お待たせしました。これがギルドカードになります。このカードは身分証明書にもなり、再発行には銀貨が1枚必要になるのでなくさないようにしてくださいね。」
「はい。ありがとうございます。」
「ではギルドの説明に移ります。」
話を要約すると、冒険者にはランクがあり、最初は誰でも一番下のEから始まり、最高はSSSまであるらしい。SSSは初代の勇者だけで、SSは世界に3人、Sは5人しかいないらいしい。次に冒険者は、魔物を倒すだけでなく、街の便利屋さん的な役割も担っているらしい。家事のお手伝いから魔物や、魔物が進化した魔獣を倒す仕事まで幅が広い。依頼を受けるには、掲示板に貼ってある紙を取って、その紙を持って依頼を行うらしい。依頼が終わったら依頼人に依頼を完遂したことを紙に書いてもらい、ギルドに持っていくらしい。紙を職員に提出し他は人を殺さないとかの常識的なことだった。
「説明は以上です。もし質問があったらその都度職員に聞いてください。」
「はい。ありがとうございました。」
俺は掲示板の方へ行き、Eランクの依頼を探してみると、薬草を集めるという依頼で、回復草という草を集めるというものだった。俺はその紙を手に取り、紙に書いてある深淵山へと歩き始めた。どうやら深淵山はこの街の東にあるらしい。東門にまで行くと、屈強そうな騎士の人から
「身分が分かるものを出してくれ。」
「あ、はい」
俺はギルドカードを見せた。
「Eランクか、深淵山に行くのか?」
「はい」
「あの山は奥に行けば行くほど魔物が出やすくなるから奥に行き過ぎるんじゃないぞ」
「はい、ありがとうございます」
カードをしまって真っ直ぐに進むと、数分で大きな山が見えてきた。麓まで歩き、紙に書いてある特徴の草を探していると、木の下にたくさん生えていた。この依頼はたくさんあればあるほどもらえる金額が増えるらしい。俺は夢中で草を鞄に入れていって、気づけば太陽が真上を過ぎていた。草も大量に集まったので、街へ帰ろうとした時、後ろから
「ガオオオオッッ」
大きな獣のような声のようなものが轟いた。後ろを振り向くと、そこには獲物を逃さないという目で大きな犬のような黒色の生物がこちらを見ていた。