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ギルティ エリート  作者: 明日原 たくみ
Chapter6 愚者たちは聖戦に詠う
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第98話 嵐の前 その②


「・・・。」




 思いもよらぬババアの来訪に、一同は口を閉ざす。そんな空気を疑問に思うことも無くババアは松山の前へと歩みを進める。




「アンタが松山先生かい。話には聞いてるが直接会うのは今日が初めてだね。」




 ババアが松山に握手を求めるように右手を差し出す。それに応えようと松山も右手を差し出す。




「は、はぁ」



「若いのにエリートだなんて偉いねぇ。これからも頑張るんだよ。」




 なんだそのエール。よく分からないが、よくあるババア特有のノリなんだなぁと1人で勝手に納得した。




「私の孫もこの間教師として社会人になったんだけどねぇ、担当するクラスの生徒が言うことを聞かないらしくてねぇ。大変だって嘆いてたよ。アンタも若いんだろ?どうやったら言うこと聞いてくれるか1つ教えてはくれないかい?と言っても孫は中学校の教師だから勝手は違うだろうけど、共通するやり方みたいなものがあるとは思うからね・・・」




 握手の手を離すこと無く、ババアは長々と世間話を続ける。孫の世知辛(せちがら)い現状を憂うババアの姿に、どこか悲しい感情を抱きながらも途轍(とてつ)もない面倒くささを感じていた。そしてババアへの対応は頗る大変なのだと、全世界にいるババアへの対応に追われる人々の苦労を改めて実感した。





「・・・えーっとじゃあ、アンタたち今から料理するんだっだっけ?」




 唐突に世間話が終わり、御年64の利根(とね)ヶ原 八千代(やちよ)は思い出したかのように第3試合の話題を持ち出した。




「なんか、ジ・・・ジャッジ・・・メンツ・・・?っちゅーのを頼まれたんだけどねぇ、私も今忙しいからねぇ、あんまり難しいことは出来ないんだけどねぇ・・・」




 嘘つけ、20分も1人で世間話キメるババアのどこが忙しいというのか。というか忙しいなら審判なんて引き受けんな。というか芽奈よ、ババアに対して審判のことを「ジャッジメント」と伝えるな。覚束(おぼつか)ない上に言えてねーじゃねぇか。様々なツッコミが一同の心の中で獰猛に飛び交う。




「そうだ、今から30分後にまた来るよ。そいで、私がそれぞれのできあがった料理を試食して勝敗を決めるから。それでいいだろう?」



「!?」




 このババアの発言が、事実上の審判不在宣言であることを理解するのに長い時間を要さなかった。


 Force of Fourth史上最も酷く醜い戦いの火蓋(ひぶた)が、いま切られようとしていた。


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