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ギルティ エリート  作者: 明日原 たくみ
Chapter1 その男、容疑者につき。
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第8話 大人は甘くない

 とりあえず一限目は自習らしいので、ミツルは「ちゃんと自習しておくように」と言い残して教室を出た。

 

 さて、これからどうしようか。職員室に行ってみるか?というか、ここの職員どもは松山先生が来ていることを知っているのだろうか。なにしろ昨日インフルエンザにかかったんだ。いくら生徒がバカでも、職員どもは大人なのだから「エリートだからすぐ治った」なんて理由が通じるわけがない。大人は甘くないのだ。

 万が一、通じてしまったらこの学校はおしまいだ。そうなったら、ここは高校ではなく幼稚園であると認識せざるを得なくなる。


 不安を抱えながら、職員室前にやってきた。学生のころは職員室に入るのに少し恐怖感があったが、今は別の意味で恐怖感がある。なにしろ、事実上の不審者が職員室に入って来るのだ。下手したら通報されるだろう。

 逆に考えれば、この職員室での挨拶を乗り越えれば怖いものは何も無い。実質この学校を支配したも同然だ。本物の松山先生のことは後で考えればいい。最悪消してしまえば・・・



「し、失礼します!」



 ドアをノックし開く。室内には十数人の教師たちがいた。

 コーヒーを飲むオッサン、パソコンを睨みつけているオッサン、寝ているオッサン、冷凍スパゲッティを食べているオッサン・・・。なんとも中年男性の多い、まるで平日のパチンコ屋を連想させる空間だ。はっきり言って気持ち悪い。


 そんなオッサンどもが一斉にミツルの方に視線を向ける。そしてその中の一人が言う。



「おやっ、もしかして松山先生ですかぁ!?」



 あまりにもバカみたいな声だったので、ミツルはちょっと鼻で笑った。



「インフルエンザは大丈夫なんですか?昨日発症したんですよね?」



 想定通りの問いかけだ。ミツルはこの問いかけに対して冷静に返答する。



「すみません、実はインフルエンザではなく、普通の風邪だったようで・・・」



 さすがに一晩で治りました、は大人には通用しないだろう(高校生に通じるのもおかしいとは思うが)。だから最も賢明な理由をでっちあげた。インフルエンザではなァい、ただの風邪であァるゥ、と。エリート補正でなんとか押し通せてくれ、と心の中で願った。



「え、でも昨日病院から松山先生はインフルエンザですっていう証明書が届いたんですけど・・・。あれ?私の見間違いかな?」



 オーマイ!なんてこった。証明書だと、それは流石に言い逃れできねぇじゃねぇか!証明書をニセモノだ!なんて論破することもできないし・・・

 


 室内がザワザワしだす。なんか異端者を見るかのような目でこちらを見ている。ええいままよ、死なばもろともだ。言え、言ってしまえ!あの殺し文句を!!



「・・・実は、エリートだから一晩で治っちゃったん・・・です・・・」



 悪さした子供が言い逃れをする時みたいなテンションで言い放った。あぁ、これは通報だ。絶対に通報されるだろうな。俺は松山先生にはなりきれなかった・・・。俺は人殺しに逆戻りだ。さようなら、マイスイート アンド スイートデイズ・・・




「ほっほっほ、流石はエリート様ですじゃ。」



 後ろから誰かが言った。



「「おはよーーございます!!校長先生ェェェーーッッッ!!」」



 オッサンどもが、ミツルの背後にいる人間に対して挨拶した。中年が大きな声を出すと不気味だ。



「え、校長先生?」

「皆さんおはようございますじゃ。皆さん2ポイントですじゃ。おはようございます松山先生。赴任当日に治って良かったですじゃ。今日から宜しくお願いしますぞ?」



 後ろの校長先生とやらが優しい声で言うと、そのまま廊下に消えていった。正直なにが起こっているのかついていけてない。



「よしっ、2ポイントだ!」

「校長先生が出てくるとか久しぶりだな!」

「俺34ポイントー!」

「うわっ、お前すげぇな!」



 校長先生の登場により、活気づいた中年どもは校長先生が退場しても、未だ活気づいている。ポイントとはなんだ。



 とりあえず分かったことは、ここが高校では無く幼稚園であるということだけだ。

職員室とか悪いことしてなくても入りづらい。

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