第88話 反逆者たちの称号(パルス)
ミーティングが終わり、各チームグラウンドに集合すると、我が校の制服を着た見知らぬ男子生徒がやって来た。恐ろしいことに彼は高校生であるにも関わらず金髪でピアスを開けていたのだ。どうした、ラジオ体操のハンコだけもらいに来たのか?それとも、夏休みに突入して生まれた抑えきれぬ暴走の衝動をぶつけに来たのか?
「遅れて申し訳ありません。皆さん初めまして。本日の4番勝負の審判を務めさせていただきます、金子 審と申します。よろしくお願いします。」
驚いたことに彼は日夜迷惑行為に明け暮れては問題ばかり起こしていそうなナリをしていながら、丁寧口調で遅れてきた謝罪をしては分かりやすい自己紹介をしたのだ。偏見はよくない。ていうか審判までいるとは、なかなか無駄なところに力入れるよなこいつら。
そして、よく分からない審判も到着したところで、英知がさっそく口を開く。
「・・・それではミーティングが終わったところで、第1試合を始めます!!一同、礼!」
生意気にもグイグイ仕切る英知にイライラしつつ、皆に合わせて礼をする。その号令は審判の役割ではないのかという疑問も添えて。
「早速イカれたランナーを紹介するぜ!!奴が通れば草木が滅す、地獄を駆ける霊柩車!SeReKa代表ゥ~~~、神田ァァァァァ~~~天海ィィィィィィ~~~~~ッッッッッッッ!!!!」
おいおいおい英知さん、普通に本名呼んじゃったよ。カグツチさんじゃなかったのかよ。ちょいちょいブレるなこいつら。
「対するはァ~~~、悪を葬る救世主、死地を巡るは骨までも!反逆軍代表ゥ~~~、松山ァァァァァ~~~孝則ィィィィィ~~~~~ッッッッッッッッッ!!!!」
だっせぇ恥ずかしいやめろや勝手に変な紹介するの。センスの欠片もねぇなコイツ。
「・・・1ついいか。」
刹那が割り込んで言う。
「反逆軍という呼び方はやめろ。」
「ん~~じゃあチーム名の候補とかあんの?」
ラフな口調で英知が返す。しばらく考えて刹那が告げる。
「リフレイン・オブ・ディーヴァ」
だっせぇ。想像以上にだっせぇぞ刹那。彼女も大概だせぇな。日本語訳すると「歌姫の残響」だぞ。歌姫の残響。
「ちょっと呼びにくいわ。『メロウ・ハーツ』にしましょう。」
麗華が突然横から入ってきた。真面目な顔して何言ってんだアンタも。「芳醇な心」ってなんだ。美味しそうだな麗華さん。
「やめようやめよう。なんかダサいしモチベーション下がるから無難な名前でいこう。」
松山が冷静にツッコんだ。それに対して麗華は少しショックを受け固まってしまった。刹那は不機嫌そうに反論した。
「何を言う。貴殿にはこの名が素晴らしいと思わぬのか。」
「思わん。ダセぇ。」
「すみません、松山先生・・・」
「じゃあ何か他にいい名があるとでも言うのか!?」
「う~ん・・・」
と言ったものの、自分も特に案があるわけではないのだが。ちょっと考えてみた。ダサくない、チーム名っぽいものを。
「ジュリアス・ブランク・・・」
場にいる全員が口をポカンと開け静まりかえった。誰1人その名にピンとくる者がいなかったからだ。
「なんだそれ。」
「ほら、あのアメリカであった『8人の反逆者』の中の1人で・・・」
不機嫌そうだった刹那の瞳が一気に輝きだした。
「反逆者・・・それだ!!!」
どうやら刹那は「反逆者」のワードに煌めいたらしい。なんとも単純な子だ。
「じゃあ我々は『チーム・ジュリアス』で。それでいいか、麗華?」
松山は念のため麗華に確認して視線を送る。麗華は「御意」と即答した。そろそろいいですかみたいな顔で英知が口を開く。
「・・・それでは『チーム・ジュリアス』と『SeReKa』のランナー両名はスタートラインについて!!」
「それじゃあ行ってくる。」
「頼んだぞ。」
「ご武運を。」
女子2人からエールをもらった松山は、気合いを入れスタートラインに向かう。




