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ギルティ エリート  作者: 明日原 たくみ
Chapter6 愚者たちは聖戦に詠う
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第87話 作戦会議です!

「え、えーそれでは、第1試合の作戦を立てようと思う・・・います。」




 落ち着いたところで、刹那(せつな)が話を切り出す。その口調にはどこかぎこちない。




「刹那さん、別にいつも通りの話し方でいいよ?」




 ぎこちなさを感じた松山が刹那に優しく言う。丁寧に話そうとするのが(わずら)わしいのであれば、別にいつものように自然な感じで話してもらったほうがいいと思ったからだ。予期していなかった台詞だったのだろう、刹那はすぐに反応することができなかった。




「・・・わかった。それならば、君たちも私のことを『刹那さん』ではなく『刹那』と呼んでくれ。」




 すぐに受け入れた刹那が松山と麗華(れいか)にお願いをすると、2人も快く承諾した。






「では作戦会議を始める。まずは私の知る火之迦具土神(ひのかぐつち)もとい本名『神田(かんだ) 天海(てんかい)』の情報を3人で共有したいと思う。」




 仕切り直されたところで、さり気なく晒された火之迦具土神の本名に聞き覚えがあった。




「・・・神田 天海?それってアレか、この前までいじめられてて引きこもってた奴か。」




 思考の後に合致した記憶を刹那に確認する。刹那は少し驚いた表情で話を続けた。




「知っているのか。そうだ、彼は春頃からクレ・・・なんとか・・・なんとかにいじめられてて自宅に引きこもっていた。そのクレなんとかなんとかが消えてからしばらくして復帰したそうだが。」




 曖昧な箇所はクレイジーデッドのことを指していることは容易に分かった。この神田 天海のせいで松山はクレイジーデッドとの一件に巻き込まれたと言っても差し支えはないのだ。



 刹那が恐らく知らないであろうクレイジーデッド壊滅の原因の真実は、いま告げるべきではないだろうと自粛した。




「彼は見かけによらず運動神経が良い。スポーツテストでは常に学年TOP10に入る実力で、中学では陸上部に所属していて、自身が3年の時の県大会で優勝したらしい。」




 サラッとすごい情報が流れてくる。なんでそんな陽キャみたいなすごい身体ステータスしてるくせに、いまSeReKa(セレカ)に墜ちてしまっているのか非常に気になるところだ。というかなんでそんな強キャラみたいな奴がいじめられて引きこもるんだよ。




「そこで第1試合の競技が・・・」




 大きなため息をつき、謎の間を空けて言う。




「修羅の道!疾走六千六百寸・・・だ。」




 申し訳ないがそんなに溜めて言われたところでその競技が何か全く理解できない以上は反応に困るんだよ、と心の中でツッコむ。とはいえ、黙ってても仕方が無いので正直に問いかける。




「・・・なんですかそれは。」



「200m走だ。」



「あー・・・」




 シンプルにそう言えよ、とは刹那に言ってもしかたないので言うのを堪える。




「面倒くさいわね、シンプルに言いなさいよ。」




 (こら)えた末、麗華にツッコまれてしまう。くそ、他人に言われるなら正直に反応すればよかった。これはくやしい。




「言わずもがな、SeReKaは天海をランナーとして選出してくる。自分でリクエストした競技だからな。そう仮定しよう。その上で自白するが、私は運動がすこぶる出来ない。今年の50mのタイムは17秒67。自己ベストスコアだったのだが周囲からは笑われた。君たちも笑うがいいさ。」




 2人は微塵も笑わなかった。いや、あまりにも非現実的(アンビリーバボー)な記録に笑えなかったのだ。




「ということで私は論外。で、松山殿と麗華殿、50m走の記録のほうはいかがなものか。」



「今年は7秒2だったわね。」



「この前のスポーツテストで、生徒のついでに測ってもらった時は・・・って、え?」




 松山は途中で言葉を切った。その直前に麗華の口からえげつないタイムが聞こえてきたからだ。




「え、麗華いま7秒2って言った?」



「え、あ、はい、言いましたけど・・・」



「え、7秒2?」



「7秒2。」



「7秒2ってそれアレじゃん。スポーツテスト的に10点満点のタイムやん。頑張れば陸上部で大活躍できるやつやん。」




 なぜそんな逸材がこんなところで燻って生徒会長をやっているのか。非常に惜しい。ダイヤの原石は意外とすぐ近くに眠っているものなのだな。




「そうですね、でも・・・」



「これはわりと勝てるんじゃないか!?」



「ではランナーは麗華殿で・・・」




 松山と麗華のやりとりの間に、乱入してきた刹那が決定しようとする。すると麗華は申し訳なさそうに言う。




「すみません、私、いま右足を傷めておりまして・・・」




 そう言って右足に貼ってある湿布を2人に見せる。松山は先ほどまで我慢してきたツッコミの反動をここで爆発させた。




「・・・最初っから俺しか選択肢ないやないかい!!!!」




 こうして、第1試合の出場者は松山に決定した。

  

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