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ギルティ エリート  作者: 明日原 たくみ
Chapter6 愚者たちは聖戦に詠う
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第82話 幽霊なんて信じない

「はいじゃあ各々チームに分かれてください。」




 話が見えないまま、英知が仕切る。英知の周りに2人、松山の周りに2人集まり、3人1組のチームが2組完成した。恐らく松山率いるのが反対勢力軍(アンチ)なのだろう。


 まぁ仮に松山軍と称しよう、このチームのメンバーは松山と麗華(れいか)と、あと1人見知らぬ女子生徒だった。小学生と間違えてしまいそうな身長で、また表情が固い。無理矢理連れて来られたのだろうか。



 一方、英知率いるSeReKa(セレカ)チームの残り2人も見知らぬ男子生徒と女子生徒だった。というかSeReKaとは英知の話で聞いていただけで何気に全員の姿を見るのは()()()()()()。SeReKaってヤベー男どもしかいないと思ってたものだから、1人女子だったという事実に松山は驚きを隠せないでいる。


 それにしても、彼らと病院で会ったことがあるような気がするのだが、気のせいだろうか。




「では分かれましたところでルール説明をします。ルールは至って簡単。4番勝負をしてより多くのポイントを獲得したチームの勝利!1~3試合目は個人戦、4試合目は団体戦で、個人戦の勝利チームに1ポイント、団体戦の勝利チームに2ポイント入ります。ここまで大丈夫ですか?」




 淡々と説明をする英知に、松山は真っ当な質問をする。




「なんでいきなり4番勝負をやるんだ。」



「・・・夏休みだからです。というわけでルール説明を終わります。」




 質問の答えになってないような気もするが、(らち)があかないので抵抗をやめた。だが、彼がどことなく言葉を(にご)しているように感じた。




「じゃあ初めてお会いする方も多くいらっしゃると思うので自己紹介タイムに移ります!じゃあまず僕から!」




 この謎の4番勝負の脈絡(みゃくらく)も何も判明していないが、見知らぬ人の紹介があるだけありがたく、まだ現実の受け入れようがあるように思えた。




「私の名は堕天使(だてんし)ルシファー。」




 あ、こいつスイッチ入ったなと、松山軍の3人は察した。




「光など遙か昔に捨てた。今こそこの世の全てを闇と混沌で染めてやろう。覚悟するがよい。」




 パチパチとSeReKaの2人が静かに拍手をする。松山軍は手を後ろで組んだまま動かさない。




「我の名は火之迦具土神(ひのかぐつち)。」




 今度はSeReKaの英知じゃない方の男が自己紹介を始めた。いやそもそもこれは自己紹介なのか?




「愚かなる(たみ)共は我を略しカグツチと呼ぶ。誠に遺憾(いかん)であるが、今は許してやろう。なぜなら、いずれこの地は我らの炎に焼かれ(ほうむ)られることになるのだからな!フハハハハハ!!!」




 また2人だけの拍手が起こる。なんか痛々しすぎて寒気(さむけ)がしてきた。続いて、SeReKa唯一の女子が前に出る。




「え、えと、あの、リトル・プリンセス=ヒミコといいます。属性は(ゴースト)です。特殊能力は『死者の姿を視(サーチ)る』と『死者と会話をす(トーク)る』です。せ、精一杯頑張ります。」




 彼女は弱々しく名乗って後ろに退がる。前の2人の自己紹介と比べると普通だが、言ってることがやはり痛々しい。ガチ感漂わせて属性とか言ってるあたり何気1番ヤバいかもしれない。




 結局のところ、SeReKaとは夢見がちな痛々しい中二病を(こじ)らせたヤバい3人組といったところか。松山は勝手に結論づける。




「あ、」




 突然、リトル・プリンセス=ヒミコが近くにある木を指さす。




「あ、そこの木に自殺した少年の幽霊がいます。こちらを恨めしそうに見つめています。」




 あ、やばい。こいつぁいよいよヤバいぞ。拗らせすぎだ、中二病を拗らせすぎだよこの子。




「まずい、木を折って我々のいる方に倒そうとしてます!は、離れてください!」




 と言ってSeReKaの3人は木から離れる。なんだか必死そうだったので松山軍の3人もその茶番に付き合ってやることにした。危機感もなくゆっくりと木から離れる。次の瞬間、木が我々の立っていた地点に倒れてきた。




「・・・は?」



「現世を彷徨(さまよ)う古き民よ、我が『安寧浄化(あんねいじょうか)』の(おお)せのもとに()るべき処へ(かえ)れ!霊落(れいらく)之詠唱其の四七、『天破(てんぱ)導口(どうこう)』・・・」



 ヒミコは胸元からお札を取り出し、それを木のほうに向ける。そして、人が変わったかのように何かを唱え始めると彼女らの周りに常軌(じょうき)(いっ)するほどの突風がいきなり吹き始めた。



 しばらくして、謎の詠唱が終わると、何事もなかったかのように風は止み、ヒミコはまた弱々しい口調になり言った。




「ふう、よかった。あの、お、お怪我はありませんか?」




 松山は目の前の異常な光景に対し、人並み外れた冷静さで状況を整理した。「この女だけはマジの人かもしれない」と。


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