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ギルティ エリート  作者: 明日原 たくみ
Chapter5 追憶の航路
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第79話 再会と再壊

榊原(さかきばら)さん、この資料についてなんですけど・・・ってあれ?」




 数枚の資料を手に診断室に入った那須野(なすの)であったが、そこにいるはずの榊原がいない。




「おかしいな、榊原さん今日は休みの日(オフ)じゃないはず・・・。ん、これは・・・」




 机の上に小さな紙が1枚置いてあることに気づき、それに目をやる。その紙にはこう書かれていた。




潮風(しおかぜ)を感じたいから海に行ってくる。すぐ戻る。』




 榊原直筆の置手紙であった。それを読んで、那須野は笑った。




「榊原さんったら、素直じゃないんですから。面倒なのは一体誰なんでしょうかね。」



―――――



「松山先生!!!」




 麗華(れいか)咄嗟(とっさ)に松山に抱きついた。これは()()()()である。もし不可抗力でないと言う者がいれば、出るところに出てもよい。麗華はそう思っていた。




「ゼウs・・・松山先生!!」




 英知(えいち)も気づき、松山のもとに走る。ゼウスと言いかけたが、今は松山に再び会えたという嬉しさから、素直に松山の名を呼んだ。




「君たち・・・なんでここに。」



「君たち・・・?」




 不思議そうにつぶやいた松山の言葉に反応した2人は、口を開いたまま動かない。




「先生、思い出したんですか、私たちのこと・・・!」



「・・・え、あぁ、うん。思い出したよ。姉の清波麗華に、弟の英知。」



「・・・!!」




 自分たちのことを憶えている松山を目の前に、麗華と英知は人目をはばからず泣き出した。感動の再会とはこのことを言うのだろう。







「・・・あの、先生はなんで退院するなり海岸に来たんですか!?」




 涙が止まり、落ち着きを取り戻した麗華は率直な疑問を松山にぶつける。




「あぁ、うん。たしかに君たちのことは思い出したんだけどね。」




 松山は意味深に一拍おく。




「思い出せないんだ。君たちの学校に赴任する前のことが。」




 静かに言うと、2人はしばらく黙ったまま、何も言わなかった。いや、言えなかったと表現するほうが正しい。



 沈黙する3人の間を、海岸の喧噪(けんそう)さが通り抜ける。


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