表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ギルティ エリート  作者: 明日原 たくみ
Chapter5 追憶の航路
77/109

第76話 勝機は暗躍にあり

「な、麗華(れいか)姉さん・・・、どうして・・・」



 英知(えいち)は不思議で仕方がなかった。なぜ麗華姉さんが、SeReKa(セレカ)の2人よりも先に病院に着いたのだ。追いつくはずがない。まったくもって不気味だ。英知がそんなことを考えていると、麗華は口を開いた。




()せないという面持(おもも)ちね。なぜ私がアンタの仲間より先にここに辿り着いたのか・・・。なぜアンタの仲間がなかなか来ないのかと・・・。それが不気味と・・・、ね。」




 心を読まれた英知は恐怖する。それと同時に、彼女が「心読者(リアライザー)」であるという確信を改めて持った。


 しかし、感心している場合では無い。問題は「麗華姉さんが心を読める」ことではなく「仲間が来る前に麗華姉さんがここに来た」ことなのだ。




「哀れなアンタに特別に教えてあげるわ。先に言うと、アンタの仲間はここには来ないわよ。」




 英知が問う前に、麗華が残酷な事実を告げる。英知は姉が何を言っているのか分からなかった。しかし、1つの予感が彼の中を駆け巡った。




「・・・2人に、手を打ったな?」



「フフ、せ~か~い♪」




 余裕の笑みで麗華は答える。




「先に家を出たアンタに、女の私が追いつくなんて不可能。そんなこと小学校低学年の子供でも分かるわ。だから私はアンタに追いつくことはすぐに諦め、すぐに手を打った。簡単なことよ、アンタの仲間2人に電話をかけたのよ。



『病院に向かっているのなら、すぐに引き返しなさい。病院に行けば、生徒会長特権でアンタを学校の上層部に迷惑行為をしていると言いつけるわよ。』



・・・ってね。2人とも震えた声で従ってくれたわ。ま、念のために急いで病院に向かったけれど、集まってないところを見ると、やはり素直な子たちだったようね。」




 英知は唇を噛む。「なんて卑怯な、越権(えっけん)だ!」と思った。しかしその仕草を見て、麗華は彼の心を読んで言う。




「私のことを『卑怯』だなんて思わないでね。そんなこといったら、何も知らない患者に、いきなり名前を書かせて顧問にさせようとするほうが、よっぽど卑怯だと、私は思うのだけれど?」




 ぐうの音も出ず、英知は立ちすくむ。敗北だ。自分は敗北者(ルーザー)だ。だが、ここで終わってしまってはずっと敗北者のままだ。それは恥だ。男としての恥だ。余裕を絶やさぬ圧倒的勝利者の麗華に一矢(いっし)報いるためにも、諦めてはならない。



 魂に(そそのか)されるように、英知は決心する。勝利を確信する麗華の隙を突き、英知は病院に向かって走り出した。




「な、なにっ!?」



「フッ、油断したね麗華姉さん。たとえ仲間がいなくても、僕1人だとしても、SeReKaの夢を諦めるわけにはいかないのだ!!!」




 英知は決心したのだ。1人で松山のもとに向かい、強行突破で名前を書かせようと走り出したのだ。




「はっはっは、出遅れたねッ!先に病室に辿り着くのはこの僕だ!!!」




 余裕を再び取り戻す英知はいよいよ病院内に入ろうとする。しかし、それはできなかった。




「ぐぴゃあああ」




 情けない声を発して、英知は倒れる。開かない自動ドアに思い切り正面衝突したのだ。それを見て、麗華は思い出した。




―――早朝って、まだ病院開いてないわよね・・・。




 必死こいて英知を追いかけてきたが、そもそも病院が開いてないのだ。当然面会もできない。アホくさ、と麗華は肩の力を抜く。骨折り損のくたびれもうけとはこのことだろうか。




 2人の対決はここで一度幕を閉じる。勝負は面会可能時間まで持ち越された。英気(えいき)を養う麗華と、自動ドア前で気絶する英知。この勝負を制し、先に松山のもとに辿り着くのは、果たしてどちらなのだろうか。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ