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ギルティ エリート  作者: 明日原 たくみ
Chapter5 追憶の航路
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第75話 負けられない戦い

「ちぃっ、また赤信号か。」



 本日4つ目の赤信号に妨害される英知(えいち)は、舌打ちをして自転車を止める。だが、集合時間には間に合うほどの余裕はある。まだ彼の心には精神的猶予(ゆうよ)は残されていたのだが、それを(おびや)かす存在があった。それは集合時間ではなく、彼の姉・清波(せば) 麗華(れいか)の妨害である。



 なんとしても、姉さんよりできるだけ早く病院に行き、邪魔をされる前に松山先生からの署名をいただく。そして、SeReKa(セレカ)を正式な同好会にする!そのために、彼の心は必死であった。



 信号が青に変わると、英知は勢いよく地面を蹴り上げ、病院へと全速前進する。



―――――



 先に病院に着いたのは英知であった。麗華の妨害なく、余裕の到着であった。そりゃあ家を先に出た方が先に目的地に着くのは当然だと、英知は心の中で静かに笑う。



 あとはSeReKaの2人が到着するのを待つだけなのだが、なかなかやって来ない。あまり単独行動(シングルアクション)はしたくないので、早く来てくれと念じる。



 やがて集合時間が過ぎたが、2人はやって来ない。焦る英知は、急いで2人に電話をかける。しかしどちらも電話に出ない。




「ぬぁんで出ないんだァ~~~!!」




 思わず病院の外で叫んでしまう。周囲の人々からの視線が痛い。しかし英知にはそんなことを気にする余裕はなかった。SeReKaの夢が()かっているのだ。だがそれにしても、ただ待ちぼうけるにはあまりにも苦痛な時間である。




「落ち着け、落ち着けよ清波 英知。こういう時こそ、エジプト神の名を列挙するのだ・・・。イシス・・・、ゲブ・・・、ネフティス・・・」




 英知はうつむきながら、心を落ち着かせるためにエジプトの神々の名をブツブツと挙げはじめた。周囲の人々は痛々しい視線を向けるどころか、目を逸らしはじめた。とうとう関わってはいけないと、彼らの本能が告げているのだろう。そんなことを思われているとも知らず、変質者(へんしつしゃ)英知は列挙を続ける。



 キキ―っと、自転車のブレーキ音が響いた。英知は安堵した。ようやく仲間がやって来たのだと。彼はエジプト神の名を挙げるのをやめ、後ろを振り返った。


 しかし、英知の視界に映ったのは彼の仲間ではなかった。そこにいたのは・・・




「残念だったわね、英知。」




 そこにいたのは、自転車に乗った彼の姉・麗華であった。息を切らしているが、したり顔で英知のことを見つめる。英知は豆鉄砲を、いやⅢ号(さんごう)突撃砲の砲撃を食らったかのような顔になった。


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