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ギルティ エリート  作者: 明日原 たくみ
Chapter5 追憶の航路
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第67話 ニルバナ散らす魂の業火

 ナースの那須野(なすの)は、急なアナウンスに呼ばれて榊原(さかきばら)のもとへやって来た。



「なんか、松山さんの病室が騒がしいと先ほどからクレームが来ているのだが・・・」



 やって来るやいなや、榊原は呼び出した那須野に対して不満そうな顔で告げる。



「変なグラサン集団がやって来ただの、顔真っ赤っかな変態女子高生がやって来ただの。もう文面だけじゃ全く意味が分からないんだけども、とにかくこれは問題だよ那須野くん。問題っていうか、大問題だよ那須野くん。」



 ぐちぐちと不満をぶつける榊原に、那須野は何も喋ることなく、ただ頷きながら話を聞き続ける。



「ほかの患者さんには迷惑をかけるわ、松山さんに変な衝撃を与えるわ、これでは我が水上記念病院の尊厳(そんげん)が損なわれてしまうのも時間の問題だ。なんとしてもそれだけは避けなければならない。いいかい那須野くん、君にばかり注意をするのは君を『次期ナース長候補』だと見込んで、それなりの責任と覚悟を背負ってもらおうと思っているからであって・・・」



 榊原の面倒くさく長々とした説教じみた何かをずっと聞かされる那須野。冷静を装っているが、彼女のイライラゲージはそろそろMAXに達しようとしている。



「・・・まぁなんにせよ、君には頑張ってもらわねばならん。なんとしても周囲の患者さんからのクレームを防ぎ、松山さんに衝撃を与えないようにしなければならない。君ももう28なんだから。ちなみに、暴力は禁止な。」



 そう言って榊原は那須野に退室を命じた。那須野は何も喋ることなく、部屋を去る。



―――――



「え~と次は606の山本さんの点滴を・・・ん?」



 真面目に自分の業務に(いそ)しむ姫紀(ひめき)はその最中、身に妙な殺気を感じた。



「この給湯室から、なにか禍々(まがまが)しいものが・・・」



 給湯室から感じる不穏な殺気に、姫紀は戦慄(せんりつ)をおぼえながらも、その中を確認する。



「・・・ハッ!?」


「・・・紅蓮早乙女(ぐれんさおとめ)連合 十七箇条其の参 『(おの)が存在意義は力を(もっ)て証明せよ、力を持つ者こそ正義なり。』・・・紅蓮早乙女連合 十七箇条其の四 『打ち潰す時は徹底的に潰せ、慈悲持つ者は愚かなり。』・・・紅蓮早乙女連合 十七箇条其の伍・・・」



 そこには、静かに壁を殴りながら紅蓮早乙女連合十七箇条をブツブツと呟く元紅蓮早乙女連合副総長の那須野 神奈(かんな)の姿があった。



「・・・あ~」



 榊原さんに何か言われて、そのイライラを抑えるためにお経じみたエニシングを唱えているのだろうから、そっとしておこう。そう思った姫紀は静かに自分の業務に戻った。



―――――



「はぁ・・・」



 麗華の逃走後、記憶喪失のミツルは意味の分からないことの連続に頭を悩ませていた。目を閉じて今までの来訪者について思い出す。



「ゼウスの生まれ変わりだったり、変な美人さんの恋人だったり・・・」



 まぁ、これらのことは別に記憶を失っていない人からしても意味の分からないことではあるが。



「一体、僕は何者なんだろう・・・」



「お前はァ、ただの犯罪者だよ。」



「・・・だ、だれ!?」



 目を開くと、ミツルの目の前に学生服を着た強面(こわもて)の男たちが大勢いることに気がついた。廊下の方に目をやると、そこにも仲間と思われる男たちが何人かこちらを(にら)みながら待機していた。その数30か40といったところであろうか。


 そんな彼らの正体は、ミツルと関わりの深い最強最悪の不良軍団「クレイジーデッド」だった。


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