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ギルティ エリート  作者: 明日原 たくみ
Chapter3 人殺しなんて、死ねばいい。
47/109

第46話 欠けた2つのピース

「お前ら全員逮捕じゃああああああああああああああ!!!!!!!!!」

「えっ!?」



 ミツルはゾッとした。犯罪者が恐らく最も恐れる「逮捕」というワードが彼の耳に響いたからだ。なぜ警察が!?誰が通報したのだ。まさか、最初から清波三姉弟の策に嵌まっていたとでもいうのか・・・!?

 いや、しかしこの女性、警察にしてはラフとうか、だらしない感じの私服を着ているし、それにどこか酒臭いというか・・・



「な、『ユキノ姉さん』!?なんでこんなに帰りが早いの!?って酒臭っ!!」



 またか。まーーた身内が帰ってきたのか。しかもまた姉さんか。英知よ、お前には一体何人の姉がいるのだ。マジで1人くれよ。



「いやぁ~~なんか新台入れ替えだったんだけどぉ、すぐ負けちゃったんだよねぇ~。あ、店にビール置いてきちゃったぁ。まだ余ってたのにぃ。あははは」



 「ユキノ姉さん」がフラフラしながら笑う。恐らく酔っ払っているのだろう。お前、平日の新台入れ替えに赴いて、その上酒も飲んで酔っ払ってるとか、最早ニートじゃねぇか。



「・・・新台入れ替えって、開店したの30分前じゃない!なんで30分も経たずに負けて帰ってきてるのよ!」



 麗華がもっともな事を言う。たしかに30分で負けるのは早すぎる。



「いやぁ、1000円じゃあっという間に終わっちゃうんだよねぇ~」



 いや、そんな僅かな軍資金でパチンコに行く奴がどこにいるものかよ。小学生じゃないんだから。



「それにしても『CR銭形巡査長2』全然当たらねぇなぁオイ!超激アツリーチ(期待度★★★★☆)にまで発展したのに、昇格演出もなく終わるとかありえねーしぃ!あーマジむかつくわぁ~!」



 あ、銭形打ってたのね。新台入れ替えで銭形打ってたのね。それで開口一番「逮捕じゃああ」みたいに叫んでたのね。なるほど把握。



「・・・でぇ、この男誰?」


 

 「ユキノ姉さん」は急にミツルを指さした。パチンコトークからいきなり話が変わったので少しびっくりした。やはり酔っ払いの言動と世界の情勢ほど読めないものはないな。ゆえ、酔っ払いに自己紹介しても意味が無い気がしたが、まぁ仕方が無いから一応名乗ることにした。



「あ、初めまして。僕は村雨学院高校の・・・」

「もしかして、デリバリーヘr」

「ユキノ姉さん、ちょっと外行っててもらえるかな。」



 麗華はなにか言おうとした「ユキノ姉さん」を、強引に颯爽とリビングの外へ追い出した。



「ったく、酔っ払いめ・・・」



 やれやれと言わんばかりの表情でリビングの扉を閉める。



「松山先生お騒がせしてすみません。彼女は『雪乃ユキノ』という私たちの姉です。」



 やはり身内、というか姉だったか。・・・え、「私たちの」だと?



「『私たちの』ってことは、芽奈さんよりも・・・?」


「そうです、雪乃姉さんが長女で、芽奈姉さんが次女、それで私が三女で三姉妹です。」



 まさかの長女だった。せっかく次女三女が真面目なのに、一番上が最もろくでもねぇモンスターだとは思わなかった。なにやってんだよ長女。モンスターついでに少し失礼な質問を投げかけてみる。



「こ、こんな平日からパチンコってことは、もしかして・・・?」

「そうです。ニートです。」



 麗華が即答した。そうか、やはり「Not in Education, Employment or Training: NEET」、俗に言う「自宅警備員」という輩でしたか。まぁなんとなく予想はできていましたけども。長女:ニート・次女:公務員・三女:生徒会長(高校生)という清波家三姉妹。なんとも長女の破壊力がとてつもない。



「ほかに兄弟はいるの?」



 ついつい余計な質問をしてしまう。この豪華三姉妹に対して、ほかに兄弟が英知1人とか、三姉妹独占とか、ちょっと無性に羨ましくて恨めしく感じてしまったからだ。だから、せめて何人かほかに兄弟がいてくれれば、なんとか独占禁止法の名の下に、英知に対するあらゆる感情が解消できると思い聞いてみたのだ。



「いえ、英知だけです。」



 ミツルはとても小さなため息をついた。他に兄弟も、独占禁止法もなかった。完全競争市場なんてなかったのだ。完全に過剰供給だったのだ。



「そうか、じゃあ結局家族みんな帰ってきたってことだね・・・」



 ミツルはがっかりトーンのままつぶやいた。しかし、いまの何気ない自分の発言に誤りがあったことに咄嗟に気がついた。



「・・・あっ、ごめん!家族みんなじゃなかったね。まだ両親が帰ってきてなかったね。」



 さも、この家には両親がいないと断定してしまった発言を撤回した。しかしこのあと、ミツルは麗華から想定もしていなかった言葉を聞くことになる。



「いえ、もう家族みんな帰ってきましたよ。」



 ミツルは一瞬呆然として、麗華に問う。



「え、それってどういう・・・?」



 ミツルの問いを聞いて、麗華含め全員どこか悲しそうな顔になる。そして麗華が口を開く。



「この家に住んでいるのは私たち4人だけ。私たちの両親は、5年前に死にました。いや、死んだと言うより・・・」




「殺されたんです。」

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