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ギルティ エリート  作者: 明日原 たくみ
Chapter3 人殺しなんて、死ねばいい。
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第44話 Heaven of the Dead

 麗華の家(ユートピア)に向かう道中、ミツルは麗華から、クレイジーデッド報復時の詳細について聞いていた。



「黒沢が?」

「えぇ。あなたが殴られ始めてから10数秒くらいしてから、黒沢が起き上がって、周りのゴミ共をなぎ倒し始めたんです。」



 麗華ぉお前「乱暴なことは嫌い」て言うておきながら、めっちゃ言葉遣い乱暴やんけ・・・というツッコミはこの際なしにしよう。



「で、ガチギレモードの黒沢に恐れをなした虫けらどもが、負け惜しみをほざいて倉庫から逃げていったんです。いつの間にか黒沢もいなくなってました。頭に鉄球をぶつけられたのによくもまぁ動けたものですね。」



 もはや麗華の乱暴な毒舌のせいで話があんまり頭に入ってこないんだけど、要するに黒沢に助けられたってことだろう。10数秒くらいしか殴られていないのならば、この程度の負傷にも納得がいく。



「そうか・・・黒沢に借りを作ってしまったな・・・」

「何言ってるんです。あの人も敵ですよ。元クレイジーデッドって時点であいつらと同類です。借りだなんて思うことないですよ。」



 たしかにそうだ。奴だって本来は敵のはずだ。しかしミツルには、黒沢が「悪」であるようには思えなかった。



「でも、俺が見る限り黒沢は、クレイジーデッドの奴らとは比べものにならないくらいに出来た人間だよ。俺が彼と話をしていたとき、恐怖を感じるどころか、むしろ妙な安心感に襲われたんだ。乏しい根拠だけど俺は、彼を敵だとは思わない。」


「・・・本当に優しい人ですね。」



 麗華はそう言って、あきれた表情ながら笑っていた。



―――――



「着きました。ここが私の家です。」

「・・・え?」



 歩き始めて10分。麗華の家と思われる建物に辿り着いた。しかしそれは女子高生が住む家にしてはあまりにも大きすぎる気がした。なんだか別荘のような、どこぞやの骨川さんのお宅みたいな風構えだ。



「君の家、金持ちだったりする?」


「・・・えぇ、まぁそんな感じですね。」


「メイドさんとかいるの?」


「いるわけないじゃないですか。それどころか今日は誰もいないと思いますし、大丈夫ですよ。ほら早く入って応急処置しないと・・・!」



 何が大丈夫かはよくわからないが。とてつもない場違い感が漂う中、麗華に急かされミツルはユートピアへと入場した。



「お邪魔します・・・」

「あ、おかえり麗華姉さん」



 おるやないかい。お前の弟「英知」が家におるやないかい。何が誰もいないだ。思いっきり玄関で出迎えとるやないかい。




「それに松山先生まで。ってどうしたんですかその怪我!?大丈夫ですか!?」


「いや、大した怪我じゃないよ・・・」


「ていうかあなた今日SeReKa(セレカ)の活動があって夜遅くなるって言ってたじゃない!なんでもう家にいるのよ!」


「なんかね、天海(てんかい)が風邪引いて今日の活動が延期になったから帰ってきたんだよね。」


「はぁ?でももう1人いるでしょ!?なんだっけ、あの・・・名前忘れたけど!誰かいたでしょもう1人!2人でやればいいじゃない!」


「御魂さんね。ダメだよ。3人でやらないとSeReKa(セレカ)じゃないんだ。それ以上でもそれ以下でもないんだよ。」




 清波姉弟の素のやりとりが続く。玄関先にて、教師を差し置いて2人で謎の言い争いをしている。仲がいいのか悪いのか分からない。それにしても、今の麗華にあの凜々しい生徒会長の面影はなく、どこにでもいる普通の女の子に見える。プライベートではいつもこんな感じなのか、それとも今回の件で変わってしまったのかは分からない。しかし、このギャップがなかなか萌える。



「・・・とにかく話はあと。とりあえずリビングに救急箱用意しておいて。」

「はぁい。」



 そう言って英知は、リビングへと入っていった。




「・・・彼には言ってもいいですよね、このこと?」


「仕方ないね。まぁ、クレイジーデッドには彼も関係があったし。この際真実を話すしかないよ。」


「そうですね。でもこれ以上はもう広げないようにしましょう。そのほうがいいんですよね?」


「うん・・・本当なら警察沙汰かもしれないけど、これは俺が引き起こしてしまった問題だ。だから彼らに集団で殴られたのも俺は『被害』だなんて思ってない。大げさに話を広げる必要はないんだ。」


「わかりました。」




 ミツルはとても最もらしい正論風のことを言っているが、要するに過剰に警察に関わりたくないだけなのだ。あくまで穏便に真実を隠蔽しようとしているだけなのだ。だから真実を知るのは英知で最後。これが最終防衛ライン。もしもまた運悪く麗華たちの家族が帰ってきてしまったら色々と厄介だ。はやく応急処置を受けて帰らなければ・・・。家族が帰ってきてしまう前に・・・



「ただいま~」



 玄関の戸が開き、帰宅を知らせる女性の声が聞こえた。振り返ると、そこにはスーツを着た若い女性が立っていた。


 帰ってきとるやないかい。


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