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ギルティ エリート  作者: 明日原 たくみ
Chapter2 嗚呼、素晴らしき(偽りの)高校教師生活
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第30話 目覚める邪心

「俺に、死ねだと・・・?」



 思わず興ざめしてしまった。この男はいきなり何を言い出すのだろう。



「そうだ。まず清波が自殺する。で、お前は清波の自殺を止められなかったことに絶望して自殺する。たったこれだけ~。ちょうどこいつが縄持って街を走ってんのを見かけてよ。その場でこの素晴らしいシナリオを思いついたから捕まえたんだ。それでお前を呼んだんだよ。まとめて死んでもらうためにな。」



 軽々しくとんでもないことを言ってくるな。こいつらは人間ではないのかもしれない。少なくとも人間の発言ではない。



「・・・なぜだ。これも理由なんてないのか?」



 「ない」と言われてしまえばそれまでだが、一応問うた。



「ある。お前がエリートだからだ。」



 エリートだったら死ななきゃいけないのか。じゃあこの国はもうダメだ。国を支える人間がいなくなる。不良特有のトンデモ理論は限界を知らないのか。



「マジでムカつくんだよ。おめーみてぇなインテリ野郎が。なぁにが『エリート松山』だ。ふざけやがって。エリートがそんなに偉いのかよぉ?」



 まぁお前らみたいなのよりは偉いよなぁ。俺ではなく、本物の松山先生だが。



「今朝は通学路で女子どもにあいさつされて楽しそうだったらしいじゃねぇか?あぁ?エリートさんよぉ、調子乗ってんのか?」



 はい、それは本当に楽しかったです。調子乗ってました。はい。というか、



「なぜ清波まで死ななければならないんだ。」

「・・・ハァ、俺はな、調子乗ってる奴・粋がってる奴が大っ嫌いなんだよ。イラつくんだよ。体中かゆくなるんだよ。気持ち悪ぃんだよ!エリートでちやほやされてるお前、バンドやって粋がってるてめぇーら3人は俺らにとって害悪なんだよ!害悪には消えてほしいだろ?だからまとめて死ねって言ってんだよ!ボケが!」

「・・・」



 ミツルは何も答えない。言葉を返すだけ無駄だと考えたからだ。なにも言葉が浮かばなかったからだ。目の前にいる外道どもに対しての言葉が。



「・・・なかなか冷静だなぁ先生よ。まさか俺たちにその気がないなんて思ってたりしてねぇよなぁ?さすがにそこまではしねぇとか、思ってねぇよなぁ??」



 リーダーがさらに追い打ちをかけてくる。これはもう、穏便に事を済ませることは出来ないのかもしれない。本当に死ぬことでしか解決はできないのだろうか・・・。ミツルは心の奥底で考える。



「まぁ俺は急がねぇけどな。いいんだよ、ゆっくりで。ゆっくり殺してやるから。」

「・・・どういうことだ。」



 ミツルはようやく口を開いた。リーダーの意味深な発言に反応して。



「『母親』だよ。」

「は?」

「こいつは神田に使ってた手段なんだがよ、そいつの母親を追い詰めていくんだよ。具体的に言えば金だな。金銭的に追い詰めていくんだよ。普通にカツアゲするだけじゃ面白くなったことから思いついたんだ。神田に母親から金を借りさせて、それを俺たちが頂く。金も手に入るし、それを繰り返して神田と母親を追い詰めていこうとしたんだがよ。」



「・・・。」

「でもな、神田の母親はなかなか息子に甘くてな。簡単に金を貸してくれるから、金銭的に追い詰められねぇってことになってやめたんだ。代わりに神田を脅して不登校にさせてやった。『学校に来たらお前の母親を殺す。』ってな。」



「・・・・・・・・・・・・・・・。」

「ほんっと良い子ちゃんたちって『母親』って言葉に弱いよなぁ~!母親絡ませれば色々利用できるしな!ほんとに扱いやすいぜ。母親、ってのはよぉ!」



「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・お前ら、本気で言ってんのか?」



 ミツルは顔を下に向けて喋る。いつもより低く、どこか恐怖をも抱く声だ。



「あぁそうだよ!お前らみたいな良い子ちゃんと違って俺たちは頭悪ぃからよぉ!一時の感情でしか動けねぇんだよ!でも案外そういう生き方ってうまくいくもんでよ・・・。結局頭なんかいらねぇ!力があればいいってことに気づいちまったんだよ!!力があれば何してもいいんだよ!!教師どもは恐れをなしてなにも言ってこない!!気にいらねぇ奴には何してもいい!!だって最終的に弱い奴が悪いんだもんなぁぁ!!!!アーーーーッハッハッハッハッハッハ・・・・・・!!!!!!!!」





「・・・殺す」





 そう小さくつぶやくと、ミツルはリーダーの顔面を全力で蹴った。鈍器で殴ったような鈍い音がした。



「あああああああああああああああ!!!!」



 リーダーの顔から血が噴き出す。鼻と数本の歯が折れ、床にへばりついて悲鳴をあげている。



「だ、大丈夫ですかリーダー!?」

「お、おいコレやべーんじゃねぇか?」



 ほかのメンバー達が焦りの色を見せはじめる。怯えている。リーダーが受けた悲惨なダメージを見て怯えている。



「・・・お前ら他人の心配してる場合か?」



 ミツルの言葉に、メンバー達は怯えながら振り向く。ミツルは目の輝きを失い、瞳孔も開いてしまっている。殺気をむき出したミツルは更に追い打ちをかける言葉を口にする。



「さっさと自分の心配せんかい・・・。せいぜいすぐ死なないようになぁ!!!!!!!!!」



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