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ギルティ エリート  作者: 明日原 たくみ
Chapter1 その男、容疑者につき。
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第18話 Starting star

 突然繰り出された御子柴のストレートな宣告に、ミツルの抱く淡い自信は、刹那の如く崩れ落ちた。これには流石に動揺を隠せないミツル。


 なんだこいつ。なぜこんないきなり核心をついてくるんだ。まさか、実はもう犯人の目星がついていたとでもいうのか。ということは今までの事情聴取はプラフ!?まだ犯人の目星がついていない、と安心させておくための・・・!



「・・・は、はぃ?なにをぉうぃきなり言い出すんですかぁ?」



 しまった、完全に動揺丸出しで答えてしまった!まずい、今までの動揺のしなさが、かえってこの動揺の不自然さを目立たせてしまった!



「・・・。」



 御子柴はなにも喋らなない。岡副も同じく。なんだこれ。まるで心臓を赤子の手のひらの上に放置されているかのような緊張感。いつ彼らの疑いが確信に変わってしまうのか予測もできない恐怖が、ミツルの中を満たした。 

 わずかな沈黙であったろうに、ミツルにとっては果てのない永久のように感じられた。すると、



「・・・申し訳ありませんでした。実は犯人であると疑われている、ということに対する反応を少々見させていただきました。」



 御子柴が頭を下げて言った。な、なんということだ。この御子柴、なんという人道から外れた事情聴取。



 もし俺がただの一般人であったらこの上ない不快感を与えていただろうに。こいつは他の家もこうして訪問しては、このように動揺を誘う宣告をしてきたのか。だとしたらこの男、狂っている。一般市民を問答無用に疑っていくというこの事情聴取スタイルに、彼自身は心が痛まないのだろうか?仮にも警察は、一般市民の安全を守る義務を持つ。そんな彼らが一般市民の心を侵すような行為をするなどと。


 しかし、そのような問題を除けばこの御子柴は、なんという策士だろうか。動揺を誘って犯人を炙り出すなんて、アナログなやり方だがなかなか強い。



 馬鹿野郎、感心している場合か。奴らの疑いは間違いなく黄色信号まで点灯しただろう。あの動揺は、誰だって不審に思う。痛恨のミス。とりあえず、これ以上の不審感を与えてはいけない。今度こそ慎重に、慎重に、なんとか彼らの不審感を拭えるチャンスをうかがって・・・



「本日は本当に申し訳ありませんでした。それでは失礼いたします。」



 ジーザス!なんということだ、不審感を与えるだけ与えて身を引くなんて。本当に嫌なところで帰ろうとするなんて。やはりこいつ策士だ。人の弱い部分を知っている。とても嫌な奴だ。死ぬまで出来るだけ苦しんでほしい。



「本当に申し訳ありませんでした。」



 御子柴に続いて岡副も頭を下げる。そしてそれからは何もすることもなく、ミツルハウスを去った。



 いやまぁ、帰ってくれるのはたいへん嬉しいんだけれどもね。なんだろう、この勝ち逃げされたような感じは。結局のところ、犯人と疑われているのかいないのか、真実は分からないままだ。限りなく黒に近い灰色かもしれない。

 だが、犯人であると断定されてない以上、慎重な行動が今後の流れを左右すると言っても過言ではない。なんとしても、これ以上不審感を与えないように心がけなければならない。


 そのような決意を固めて、ミツルはすっかりスープを吸い込んでしまった残念な夜飯に手を伸ばした。



―――――



 ミツルハウスからの帰り道、2人の警察官が話をしながら歩く。



「いやぁ、御子柴くんね。いくら犯人を探すためだとしてもさぁ、一般市民を疑ってかかるのはねぇ。もう今ので18件目だよ。さすがにそろそろ私も警察官として、君の行動を黙認するのは・・・」



 部下に対して弱気な口調で話をする岡副。これもエリートの放つオーラなのであろうか。岡副の発言に御子柴は歩みを止める。



「・・・岡副さん。署内のパソコンでJKの制服を画像検索してたことをバラされたくなければ、変な口を挟まないことです。」

「!!!」

「しかし、岡副さん。こんなことをするのは、もしかしたらこの18件目でおしまいかもしれませんよ。」

「!!!」

「私が見る限り、あの星野という男はクロです。」



 御子柴の疑いが、確信へと変わった瞬間だった。

 そして、御子柴の発言に驚きを隠せない岡副は慌てながら言った。



「ち、違うんだ御子柴くん!あれはJKの制服好きな友達のために調べていたのであって、私にそんな癖があるとかいうわけじゃなくてだね・・・」



 弁明を。



「・・・聞いちゃあいねぇか」



 蔑んだ視線を岡副に向ける。そして、不敵な笑みを浮かべながら、再び歩きだす。



 運命という名の星が動き出した。


いよいよ第1章のクライマックス

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