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ギルティ エリート  作者: 明日原 たくみ
Chapter1 その男、容疑者につき。
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第12話 松山孝則攻略作戦 上

 松山先生の授業は明日から。代わりに今日は校長先生が学校内の案内をしてくれた。そんな悠長なことをしていていいのか少し怖くなったが、「俺は人殺しやない、エリートや」と心の中で復唱しているうちに、なんとか無事案内が終了した。



「ほっほっほ、松山先生お疲れ様ですじゃ。それでは今日はもうお帰りいただいて結構ですので、明日からよろしく頼みますぞ?」



 そう言い残して、校長は去っていった。



―――――



 現在の時刻、午後4時過ぎ。ミツルは足早に学校を後にし、ある場所に向かった。


 そう、本物の「松山 孝則」の自宅である。先ほど職員室の机の中から入手した情報だ。なんとしても、本物の松山先生を処理しなければならない。殺すのかどうするのかは、まだ決めていないが、とにかく家に向かうしかない。決めるのはそれからでも遅くはない、と意外にもマイペースに考えていた。



 村雨学院高校から徒歩15分、ヴィクトリア村雨というマンションの203号室に松山孝則の自宅はあった。いかにもセレブな野郎が住みつきそうな高級感が染み出てきやがっている。本当にムカつく。丁度いい具合に殺意が湧いてきた。いっそのこと松山先生殺っちゃうかな、とかいうサイコパスによく見られる症状がミツルを襲う。

 しかし、ここは平常心を保って慎重に行くことにした。あまり目立つことをするものではないからだ。



 ピーンポーン


 ミツルはマスク・帽子・グラサンという三大不審者装備でインターホンを押した。

 数秒後、「・・・どなたですか」と今にも死にそうな声が聞こえてきた。



「こんにちわぁっ!ワタクシ、村雨学院高校の教員のオカモトですが、松山先生が心配で御見舞にやって参りましたぁぁっ!!」



 とても元気な声であいさつをした。小学校高学年のように。少しも悪びれる様子もなく嘘をついていく。こういうやつが将来狼に襲われる羊飼いになるのだ。いや、もうなっているのかもしれない。



「・・・いや、その格好で教員はないでしょう。ていうか村雨学院高校にオカモトなんて教員いないはず。先月の時点で、全教員の名前暗記してるんで。」



 冷静な返事をされた。なんだこいつ、死にそうなくせにインテリ感溢れる発言しかしていないぞ。ていうか全教員の名前暗記してんの?気持ち悪っ。やだっ、気持ち悪い!エリートってみんなこんななのかな。



「や、やだなぁ松山先生!忘れちゃったんですかぁ。まぁワタクシ昔から存在感薄いから忘れられやすいんですよねぇ!」



 なんとか押し切ろうとする。相手はインフルエンザ野郎なのだ。思考に隙ができる瞬間を狙うしかない。



「・・・いや、存在感薄いのは日本史の坂田先生だけですし、それ以外に存在感薄い方は存じ上げません。お帰り下さい。」



 なんとも冷静に打ち切られてしまった。そしてさり気にディスられる不憫な坂田先生。内心イライラしながらも、これ以上の粘りは不毛と判断し、ミツルはヴィクトリア村雨を後にする。




 インフルエンザにかかっていても尚、エリートらしい応対をするとは、やるな本物の松山よ。今日のところはこれくらいで勘弁してやる。だが、次は必ずお前の家に入る。そして貴様の全てを奪い去ってやる・・・覚悟しておくんだな!

 と、悪役のようなことを小声でつぶやきながら帰路についた・・・




 ・・・ってあれ、俺は家に帰っていいのかな。家の前に警察がいたらどうするのだ。家に帰ってしまったら、俺は松山先生ではなく、ただの星野ミツルになってしまい、その場で逮捕されてしまう。あくまで松山孝則を名乗るのであれば俺は松山孝則の家にいなければならない。それが至極当然のことである。ということは、身の安全のためにも、なんとしても今日中にあの松山孝則と話をつけなければならないということになる。殺すことも、最悪仕方ない。



 ミツルは覚悟を決め、再びヴィクトリア村雨に向かった。


エリートはインフルでも強い。

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