第11話 冷えた床の上に
「あらぁ松山先生ぇン、また来てくれたの、うれしー!」
結局、焼却炉ではなく保健室に連れてきてしまい、モデルミに熱く迎えられた。さすがに一日に二人も殺すことはできなかったのだ。
「あの、とち狂ってしまった先生がいて連れて来ました・・・」
そう言って荒川先生を差し出す。未だブツブツと何かを言っているヤベー中年・荒川を。
「え・・・お父さん・・・?」
ん、今モデルミが荒川先生のことをお父さんと呼んだような気がしたのだが気のせいだろうか?この中年がこのモデルミの父親だとでもいうのか。そんなわけあるわけないだろう。いや、待てよ、モデルミの名字は確か荒川だったような。え、まさか?
「え、お二人は親子なんですか。」
恐る恐る質問してみる。
「えぇそうよ、私はこの『荒川 和博』の娘なの。」
まるでとんでもない秘密を明かすかのような迫真の表情でモデルミは言った。
―――――
「とりあえず床に寝かせておいたわ。」
隣に暖かいベッドがあるのに、あえて冷たい床に寝かせるとは、父親といえどもエリートではないから、結局そういう仕打ちになるんだな。
床に寝かせるだけならもはや保健室じゃなくてもいいよね。廊下に寝かせておけばいいよね。
「ごめんねぇ、バカ父が迷惑かけちゃってぇ。」
モデルミの言動から、父親に対する敬意とか尊厳がまるで感じられない。
まぁその態度のおかげで、中年・荒川をとち狂わせてしまった罪悪感が薄れるというものなのだが。
「いえ、大丈夫です。それでは失礼しますね。」
名残惜しくも、やるべきことはやったので、保健室を出ようとする。
「あら〜寂しい〜。インフルエンザ再発症したら絶対来てねぇ?」
ミツルは軽く微笑んで、保健室を去った。
職員室に戻ると、中年Bが松山先生の席を教えてくれたので、そこに座った。
いやぁ、それにしても中年くさい。隔離でもされてんのかと言わんばかりの異臭だ。保健室に帰りたい。しかし文句ばかりも言ってられない。机の中を物色して何か情報を得なければ。
30分後、物色の果てに得た収穫は次のとおりである。
・松山 孝則 23歳
・誕生日 12月5日
・長野県松本市生まれ
・村雨学院高校の2年4組の担任
・国語教師
・その他住所など
いやはや、エリートとか言われるものだから、担当科目はてっきり理系科目かと思ったら、最悪教師免許もってなくても出来そうな国語ではありませんか(ミツルの個人的な感想です)。これはちょろいぞ。これはちょろいぞ(大事なことなので2回思いました)。
ちょっと一安心したところで、とりあえずミツルは真っ先にやらなければならないことを考えた。
そう、『本物の松山 孝則の処理』だ。
ここから物語、少しずつ進んでいきますよ




