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ギルティ エリート  作者: 明日原 たくみ
Chapter6 愚者たちは聖戦に詠う
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第101話 眠れる本能



「っぅぁぁああああああああ!!!」




 悲鳴のような叫びを(とどろ)かせる麗華(れいか)。息づかいは荒く、怒るように興奮している。




「あれは、まさか・・・」



「どうした英知(えいち)・・・お前の姉さんは一体・・・」



「・・・っ逃げろ天海(てんかい)!!」



「何・・・」




 天海が気付いた時には遅かった。いつの間にか彼の眼前に麗華が走り寄ってきていたのだ。




「消えろ・・・クズ野郎・・・」




 麗華の口から放たれたらしからぬ暴言を経て、天海はこめかみに強烈な拳の一撃を受けた。


 奇声とともに天海は倒れる。それを見て、英知は確信した。彼の抱く()()()()()を。英知は慌てて松山のもとへ走り寄る。




「松山先生、一時休戦です。麗華姉さんを止めてください!」



「なに、麗華は一体どうしたんだ。あいつのあんな凶暴な姿見たことないぞ。」



「・・・『覚醒』です。」



「はぁ?」




 この期に及んでこの英知は、痛々しい発言を絶やさない。しかし彼の目は真剣そのものであった。今の状況を本気で恐れている目であるように感じた。




「簡単に言い換えますと、麗華姉さんの中に眠る『野蛮で凶暴な力』が目覚めたのです。」



「目覚めた・・・?あの乱暴なことが嫌いな麗華の中に?そんなことあるわけ・・・」



「普段、というか本来はそうです。麗華姉さんは心根から優しい性格です。しかし、麗華姉さんにはあったのです。自身の望まぬ『力』の素質が。」




 ものすごく二次創作感の漂う話だが、英知の目は変わることなく真剣なままだ。話の真偽はともかくとして今はただ、彼の話を素直に聞くことが利口であると考えた。




「覚醒状態になると、力が制御できなくなり暴走します。理性も失っているので話も通じません。止める方法はただ1つ。本人を気絶させるしかありません。」



「妙に詳しいな。今までも覚醒したことが何度かあるのか?」



「えぇ、数回ですが。最初の覚醒は小学校4年生の時です。」




 小学4年生の女子が理性を失い、暴走するだなんてとても想像することはできない。何よりも気になるのはそのきっかけだ。




「そんな年頃で覚醒するなんて、何があったんだ。」



「・・・あれは僕と麗華姉さんと母で買い物に行ったときのことです。


 人通りの少ないスーパーへの道中、僕ら2人は母の前を少し間を開けて歩いていました。すると、後ろの母が突然悲鳴をあげたのです。僕らが振り返ると、母は倒れていました。そして母から逃げるように走り去っていく男の姿がありました。その男は母のカバンを持っていました。要するに『ひったくり』です。母はひったくりに遭い、その際に転んで倒れてしまったのです。その後、どうなったと思います?」




 どうなったと問われたが、先ほど投げかけた質問に対しての過去話なのだから、答えは簡単、麗華が覚醒したのだろう。その事細かな行動までは読めないが。




「ひったくり犯に気付くやいなや、麗華姉さんはその男に向かって僕の持っていた野球のボールを投げつけたのです。硬球です。」



「・・・まさか、当たったのか?」



「はい、見事後頭部に直撃しました。犯人までの距離はそれほど遠くはなかったものの、瞬時に硬球を投げ、それを直撃させるという光景に、幼いながらに僕は戦慄したんです。」



 

 たしかに恐ろしい話だ。小学4年生の女子の過去話にしてはあまりにも過激だ。




「でも、これで終わりではなかったんです。本番はここからだったんです。」




 これで終わりではない。一抹(いちまつ)の不安を香らせ、英知は劇的な過去話の核へと話を進める。


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