第99話 嵐の前 その③
「とりあえず制限時間は30分ね。作る料理は何でも構わないけど、脂っこいモノはやめておくれよ。なんてったって私はババアだからね。胃がもたれてしまうよ。」
その場のノリでルールを決定するババア。英知はバカみたいに、ババアの発言をメモに書き込んでいる。そして元気に挙手する。
「ハイ、食材は料理研究会のものを使用しても構わないでしょうか!?」
「んぁ、料理研究会さんの許可があればいいんじゃないのかね?」
「ありがとうございます!許可はもらってます!」
メモを取ったり質問をしたり、この姿勢の裏側には「試合中は審判がいないんだから、最低限のルールさえ守ればいい。ルールに対しての疑問を解消してさえおけば、その範囲内でならば何をしても構わないだろう。」という英知の精神的に悪い一面が隠されていた。
しかし、現にその通りであった。審判が試合中にいないのであれば、勝敗を分けるのは結果だけである。完成した料理さえあればいいのであり、それまでの過程などはどうでもよいのだ。
そんなこんなで、いくつかの質疑応答を経てたあと、ルール説明は終了した。ルールは次の通りである。
第3試合 料理対決ルール
・制限時間は30分。
・審判は制限時間終了までいない。←重要
・各チームの料理を試食して、より審判の好みに近い方が勝利。
・脂っこい料理禁止。
・食材は料理研究会のものを使う。(許可はもらっている)
・暴力禁止。
・清波芽奈禁止。
・最低でも3品以上は作る。
とまあ、カオスなルールが完成してしまった。「清波芽奈禁止」がピンと来ないがまぁ、禁止なものは禁止なのであろう。このルールを定めたのは英知である。よほど芽奈という存在がSeReKaにとって強敵なのであろう。まぁ事実、禁止カードみたいな審判だったから、(麗華以外)誰も文句は言わなかった。
「はい、じゃあそれぞれ準備して。」
ババアの合図で、ヒミコと刹那がそれぞれの簡易キッチンの前に立つ。両名、凜とした表情である。
「私があの裏口から校舎に入ったらスタートね。じゃあ、30分後に来ますから。」
そう言ってババアは裏口へと歩き出す。誰も何も喋ること無く、ただババアが校舎に入るのを待っていた。
やがて裏口に到着したババアはこちらを振り返る。
「スターーーートーーーー!!!」
そう叫んで、ババアは校舎に入っていった。裏口の扉が閉まる。
「「行くぞオラァァァァァァァァ!!!!!!!!!」」
ババアが領域外に出て行った瞬間、男達は動き出した。さぁ、調理蛮行の始まりだ。




