プロローグ
「・・・ここで臨時ニュースが入ってきました。きょう未明、東京都水上市の岡田事務所で、自営業の男性が何者かに刃物で刺され死亡しているのが発見されました。殺害されたのは岡田 太一郎さん(52歳)で胸や腹部に多数の刺しあとが確認されています。犯人は未だ逃走中で、警察は一か月前より近辺で多発している連続空き巣事件と関連づけて捜査を続けています。次のニュースです・・・」
まだ犯人の手がかりが判明していないのは不幸中の幸いだが、いずれ何か証拠も明らかになっていき、やがては逮捕されてしまうだろう。走りながら手元のワンセグで報道を見る男、星野 ミツルはその事件の犯人だ。
金が欲しくて、一か月前より水上市周辺の金のありそうな家々に侵入し、金目の物を盗んでいた。これを何度も繰り返して慣れていくうちに調子に乗って、知りもしない事務所に侵入したのだが、物色中に従業員の岡田に発見され、咄嗟に刃物で殺害してしまった。
腹部から出てくるおびただしいほどの血と、死にゆく人間の姿を初めて目の当たりにしたミツルは、かつてないほどの後悔に襲われ、どす黒い感覚を味わった。しかし自首する気にはなれず、怖くなって逃げだした。要するにクズだ。救いようのないクズだ。社会不適合者も甚だしい。
しかしこのクズ、このあと逃げている最中に警察に捕まることはなかった。先に言っておくと、彼はこのあと偏差値42の高校に赴任することになる。
chapter 1
― その男、容疑者につき。―
昔からとくに考えず書き始めた物語です。あまり深く考えずに読んで貰えればいいです。




