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不思議なダンジョンの造り方~勇者は敵で、魔王も敵で!?〜  作者: さわらび
2.結婚できないダンジョンマスターが恋に堕ちるまで
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18.平穏という名の落とし穴

「なんか、いかにも遺跡って感じね・・・・・・」


 ゆっくりと、あたりを警戒しながら通路を進む剣士たち。

 その視線の先には、いかにも遺跡といった感じの石造りの通路が広がっていた。


「なんか、かえって不気味だな」

「そうですね・・・・・・」


 ヒーラーの言葉にうなずく剣士。

 ちなみに小回りの利く剣士が先頭で、重鎧を纏ったヒーラーがしんがり。魔法使いはその二人に挟まれる形で真ん中を歩いている。


「にしてもゴブリンが弓を使うなんて・・・・・・」

「噂をすればなんとやら、ってか」


 通路の先で蠢く複数の影。

 剣士は一気に間合いを詰めると――


「ふっ!」


 先頭の一体の首を刎ねる!

 そしてその勢いのまま横をすり抜けると、ゴブリンの集団の後ろ側へと回りこんだ。

 その後を追うように、


「ライトニングボルト!」


 放たれた雷が前衛のゴブリンたちを打ち据える!

 残されたゴブリンは慌てて矢をつがえるが、しかしその矢を放つよりも早く――剣士の一閃によって命を落としていたのだった。


「ふう」

「なんだ、もう終わりか?」


 小走りで追い付いてきたヒーラーが残念そうな声を上げる。

 視線が合い、口元を緩める剣士と魔法使い。


「ま、なんにせよこの階は楽勝そうだな」

「そうだといいんだけどね・・・・・・」


 歩きながらのヒーラーの楽観的な言葉に、魔法使いは不安げな声を返した。

 

「まあ、緊張ばっかりしてても神経が持たな――」

「あれ? ちょっと!」


 途中で切れた言葉に、慌てて後ろを振り返った魔法使い。

 しかし、その視線の先には居るべきはずのヒーラーの姿は消えていた。


「どうした?」

「さっきまで居たのに・・・・・・」


 言いながら魔法使いは札を構え、困惑した表情を浮かべながらも辺りを警戒する。

 剣士も魔法使いと背を合わせ、あたりを見渡すが――


「おーい、ここだ。ここ」

 

 ヒーラーの声は意外なところから聞こえてきた。


「・・・・・・何やってるの?」

「何って、見りゃわかるだろ」


 声のした方――つまり、通路の床の更に下、平たく言えば落とし穴に落ちかけているヒーラーを見下ろして、魔法使いが気の抜けた問いかけを投げかけた。

 ヒーラーは呻くようにその問いに答えると、縁に捕まる腕をぷるぷると震わせながら、


「いいから早く引き上げてくれ!」

「あ、ああ!」


 剣士と魔法使いはヒーラーの腕をつかむと、思い切り体重をかけて床の上へと引き上げる!

 ヒーラー自身、筋肉の塊でそれなりの重さだが、重鎧が更にその作業を難しいものへとしていた。

 ――数分後。


「・・・・・・死ぬかと思った」

「おかげでこっちも死にそうよ・・・・・・」


 息も絶え絶えな様子で呻く魔法使い。

 彼女が落とし穴を覗くと、滴って落ちた汗のしずくが、落とし穴の底で鈍く輝く槍の穂先に当たって砕けた。


「やっぱりこのダンジョン、一筋縄ではいかねぇな」

「ここからは一層気をつけて進もう!」


 場の空気を明るくするためか、元気よく声をかける剣士。

 しかし――


「その前に一休みしましょう・・・・・・」

「賛成」


 疲れ切った魔法使いとヒーラーは床に座り込んで、カバンから水を取り出したのだった・・・・・・。


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