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煉獄の主、星の王  作者: 藤平東吾
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戦闘蹂躙、少女保護

三体のミノタウロスのうちの少女にもっとも近い個体から叩くとしようか


私は一体のミノタウロスの脇腹、腰、膝の部分に三段蹴りを放つ


右足一本のみだがタイムラグなしにほぼ同時といってもいいくらいの時間差で綺麗に決まる


「迷宮では初の戦闘だから少し気合いをいれたんだが、、、入れすぎたな。ぐちゃぐちゃになってしまっているな全体的に」


私が蹴りをいれた一体は蹴られた部分の反対側が風船が破裂したかのように肉がはぜていた


そこまできてようやく残りの二体のミノタウロスも私に存在に気づく


「ヴォァァァ‼」


「ガァァァ‼」


二体ともがいっせいに私に向かって走り出す


私は最初のミノタウロス同様に武器を使わずに素手でお相手することにした


手前の一体は私にある程度近づくと手にもつただの人間には持てそうもない大きな斧を振りかぶった


「その程度の鉄屑では私の体には一切の傷はつけられんよ」


私の肉体は地球の炭素繊維の二つをミックスさせたファンタジー繊維を気合いで肉体に反映させたので問題ない


さらに今着用している私の服装はその繊維を糸のように使い作り上げたものだ


外観的には着なれている旧日本軍の陸軍の軍服をいろいろとカスタマイズして改造したものにフードつきのレインコートと軍の帽子をかぶっている


もちろんのことだがすべてに同じ繊維を使用している


だから私は斧を左の手のひらで受け止め、そのまま流れるように懐に入り込み顎を狙って右の掌底を放ち脳を揺らす


たったそれだけで一体は死んでしまったようだ


日々の鍛練が足りんな。煉獄の住民たちでさえ最初は一発でKOしてしまったが最近では四、五発程度なら持つようになってきた


「迷宮には私たちを害せる存在は上層にはいないということか」


続いて遅れること数秒で最後の敵がやって来た


私は一瞬で敵の真後ろに移動した


敵は視界から私が消えたことで動揺し動きが鈍る


一度大きく息を吸い、吐く。しかしこの動作は素早く行うのがポイントである


私の左足で一気に踏み込み殺傷範囲に入り込む。踏み込んだ位置が大きく亀裂が入る


「我が一撃にてその命を散らせ、半人半牛よ」


私は呟き、拳を放つ


この拳は敵も少女も見えてはいなかっただろう


どちらも呆然といったような感じでミノタウロスは倒れたことで少女も安心したのか気絶してしまった





「う、、、うんん?、、、ここはどこだっけ?」


少女は目が覚めたようだ


「大丈夫かい?」


私が声をかけたことで少女はこちらを向く


そのまま数秒がたち少女は私の戦闘とも呼べないじゃれあいを思い出したのか顔を青くしたり赤くしたりして大変そうだった


「あ、あの‼助けてくれてありがとうございました‼」


少女はしっかりとお礼が言える子だったようだ


「いや、大したことじゃないよ。それにさすがに一人だけがあぶれてしまって死んでしまったら夢見が悪いからね」


「え、、、ということは私たちを見ていたんですか?」


「うん。というよりも私は君たちが一度死んで世界の次元を越えてこの世界に来るところを見ていたからね」


私の言葉の意味を理解して飲み込んでしまったんだろう


少女はなかなかに頭の回転が早いのだろう


「やっぱりあのときの痛みは幻覚でも夢でもなかったんだ。死んでたんだ私たち」


少女は自分の世界に入り込んでしまったのかブツブツと独り言を呟き続ける


しかし、いきなり少女は口を閉ざしたと思えば私の顔を見て呟いた


「見ていた?私たちがこの世界にきてからずっと?でもこの人の顔はあの日以降一度だって見たことないはず」


ほう。頭の回転が早いのだろうと思っていたが知識や賢さの部分でも標準よりも上だったらしい


「それであなたは一体何者なんですか?」


「私かい?そうだな、しいて言うならば私も君達と同じ元地球人ということになるかな。まあ、君達とは同じようで違う地球になってしまうがね」


流石にそこは予想外だったらしく少女の顔は驚きに変わっていた


「平行世界ってことですか。やはり世界はいくつもの可能性を秘めているんですね」


しかし、少女はすぐに疑問が出てきたのか再びの長考に入った


待つこと数分、少女なりに納得したのか頷いている


「君の中で何かしらの結論は出たかな?私としては早々にこの場を離れたいのだが」


「なぜですか?また魔物がよって来てたりしますか?」


「いや、君の死体を回収しに恐らくカーバインの騎士団たちが戻ってくるだろうからね。できるだけ私は表舞台にも出ることを極力避けているんだよ」


私が言った騎士団が自分の死体の回収に来ると言う言葉に完全に少女は思考が止まってしまったようだ


「なんで私の死体なんかを回収しに来るんですか?どう考えてもあの三体に喰われていると思うのが普通でしょ」


まあ、普通の人の考え方ならばそう思うのも間違いではない


「君は大事なことを忘れているよ」


「大事なこと?何ですかいったい」


少女は私に問いかけつつもだんだんと理解していったのか口を閉ざし顔を俯かせる


「私が勇者として召喚された人間だからですか」


その通り。彼女は曲がりなりにも勇者である。生きている内も死んだ後も使い道などいくらでもある


何よりも今は戦争中なのであるからしてこの後の展開など誰でもわかる


「私の死を大々的に発表することで勇者というものを懐疑的に見ている連中には一定の材料としての美談と、兵士や国民には魔族と戦い死んだことにして戦意を高揚させる。クラスメイト達はバカやアホばっかりだから簡単に言いくるめられて終わり」


大体彼女の言った通りのことが起こるだろう


すでに彼女は死んだものとしてカーバイン王国の上層部には伝わっているのだろうな


後はまあ、死体があればもっといいというところだろう


「どうする?私と共に世界を巡ってみるかい?」


「世界をまああなたも元日本人だしね。気が合うあわないは次第に分かるでしょう。私が独り立ちできるまではお願いできますか?」


「ああ、大丈夫だよ。私の名前は朔夜。世界中を旅している旅人さ」


「私の名前は柊。石田 柊です。どう考えても旅人とは思えないけど今はだまされます。」


こうして一人の少女を助けたことでのちのち大きく運命が動き出すことになる

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