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煉獄の主、星の王  作者: 藤平東吾
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老人、若者を救いにいく

私は今、勇者召喚を直接目にしている


今いる国の名はカーバイン王国。この世界で最も古い歴史を持つ国の名だ


最も古いといっても何度目かのモドキどもによる文明破壊が終わった後のという言葉が付くが


「ただいまより、我らの神々より信託が下った勇者召喚なるものを行う。召喚された勇者たちに魔王を討伐してもらうのだ」


宣言したのはカーバイン王国の国王であるアルフレッド・カーバイン5世である


この国王は私の目から言わせてもらうならば可もなく不可もなくといった人物である


戦のない平時の状況ならば歴史に名君と名を残せたのであろうが今は魔王の驚異にさらされているこの状況ではいささか頼りない君主に見えてしまう


「勇者とは今はなき古代文明の英雄などの称号の一つであると考えられていたが神々によると勇者とは魔王を討ち、世に平和をもたらした英雄達のことを勇者と呼ぶらしい」


信託を実際に受けた宗主がこの場所に集まった貴族たちに説明している


宗主はカーバイン王国の大多数の人々が入信している戦神のシュヴァイン教のトップである


カーバイン王国は戦いの歴史がほとんどが侵略の歴史である


なので戦神のシュヴァインと呼ばれる戦神の宗教を広く発布しているのだろう


「では始めよう」


「わかりました。各人位置に付け。各々が事前に説明したとおりの呪文を唱えよ」


なるほどな。奴らは呪文と人の配置と魔法陣の構築によって次元の扉を少し開くことで人間を召喚するシステムを作ったわけか


しばらく待つと魔法陣がさらに輝きを放ち一面に光が満ちた


光が収まると私は驚いた


予想よりも人数が多い。いや多すぎるといってもいい


奴らは最初だからと奮発したのか本来ならば二~三人の魔法のはずが学校の一クラスの人数がこちらの世界に転移してきた


「これは不味いな。さすがに最初の召喚でこの人数は計算外だな」


召喚されたものたちはみんな制服を着ていた


懐かしい。どこのどんな地球かはわからないが制服はあまりどんな地球でも変わらないようだ


「しかし困ったな。この人数になるとリアたちの力を借りて一人一人を監視させようかな」


私はそのままの状態で楓に連絡をとる


「楓、状況が変わった。召喚された人数は三十人前後だ。不足の事態に備えてリアたちに一人一人を監視させる」


「三十人‼それまた多いね~。わかった。リアの教育も終わった第一陣から精鋭を送るよ。朔夜は引き続きそっちにいるの?」


「ああ。私自身の目で一人一人の情報を集めたいからね。早くて数年でそっちに戻れる」


「わかったよ。一応言っとくけど無茶だけはしないでね」


「了解だ。必ず私たちの家族の、そして君のもとに戻るよ。待っててくれ楓」


私と楓の会話の最中にも場面がトントン拍子に進み、今は物語によくあるステータスというものを確認しているようだ


そう、ステータスである


モドキどもはこの世界をRPGのようなレベル制やスキル郡などを生み出していた。もちろんのことだが我々にはそんなものはない


一人だけが落ちこぼれなんてことはなく全員が何らかの特殊なスキルを手に入れたようだ


先生も巻き込まれやようだがもともとオタクよりだったのか分からないが生徒たちと同じように喜んでいるように見える。まあ、大人なぶん隠れてだが


「皆のスキルは我々も大いに期待している。どうか皆の力をもって魔族そして魔王を討伐してほしい‼」


国王であるアルフレッドのその言葉に皆の反応がでる


これからの人生のバラ色を、自分の壮大な冒険を考えているものにはヘラヘラとした下心のある顔が


これからの生活が見とうせない者たちには不安や心配な表情が


前者は男で、後者は女


はっきりと別れてしまっている。典型的なヒエラルキーのような上下のグループはなく男子は男子、女子は女子の別れかたのようだ


この先がどうなるかは私にも分からないがね





勇者が召喚されて一ヶ月がたった


男には男の騎士や戦士や魔法使いがコーチとして派遣され、女には女の同じくコーチがついていた


一通りの基礎訓練が終わったようで明日にはこの国にあるダンジョンに潜りにいくそうだ


確かにステータスというものを盗み見た感想を言えばダンジョンとやらに潜ってもいいのだろうなと判断されるものなのかなと予想はできるがそれは数値上のものであって実戦になればわからなくなる


「一応は私もダンジョンとやらに潜入してどんなものかを確認しないとな」


私の驚異になりえる魔物なんかはいるのだろうか?



日が登りいよいよダンジョンに向かう日が来た。しかし、昨日は楓に説教をされてしまったダンジョンではなく迷宮と言うのだと


なので次からは迷宮でいこうと思う


さてさて、勇者たちの様子を見てみよう


「やっぱりこうなったか。しかし、王国の連中もこれくらいの事は予期出来ただろうに。まさかふるい落としか?」


私の眼前には三十人の勇者と護衛達が彼らよりも強そうな牛の顔をした半裸の魔物にいいようにやられている


「楓、私の目の前に半裸で牛の顔をした魔物がいるのだがこいつはなんなのだろう?」


「ああそれはね~ミノタウロスっていう魔物だよ。地球にゲームじゃあ結構序盤に出てくるだろう少し強めに出来ている敵だよ」


「そうなのか?しかし勇者たちは護衛と協力しているがいっこうに歯が立っていないように見えるんだが」


「う~ん。まさかとは思うけど朔夜の存在に反応して強くなっちゃたんじゃないの?」


楓にそういわれるが私に限ってそんな簡単に気取られるようなことはしていないんだがな


楓と話しているうちに彼らはこのミノタウロスを倒すにはまだまだ時間もレベルも足りないということで撤退を決めたようだ


私が驚いたのは次の彼らの行動である


「今の僕たちじゃあこいつらには勝てない‼悔しいがここで撤退だ‼」


なぜか勇者のリーダー各の男が勝手に撤退をはじめてしまった


その影響でステータスの低い一人の女の子が三体に囲まれるような形で足止めをされてしまったようだ


それに気付かずに他の勇者たちに護衛の連中もさっさと走り去ってしまった


彼女の顔は絶望していた


あれだけの勇者たちでも倒せない三体をたった一人で倒せるはずもない


「仕方ないか。前途ある若者は老人が大事にしなければな」


私はそう己に言い聞かせるように一人の女の子を救いに動いた

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