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煉獄の主、星の王  作者: 藤平東吾
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謝罪、急転直下

勇者二人による宣戦布告からすでに三ヶ月がたっている。その間に連合からの音沙汰は一切なし。ここまでの対応は予測済みだったので私たちも完全に交流を絶っていた


「ここからどういう手でこちらを攻めてくるんでしょうね。まさか宣戦布告は嘘だったなんてオチはないでしょうけど」


「いえ、わからないわ。カーバイン王国の連中ならやりかねないわ。それよりもこちらの準備はいいの?」


柊は帝国が静かなものだから逆に心配なんだそうだ。戦力的には数が連合が有利だが、質は帝国の兵士たちの方が圧倒的に上になる


「大した心配は必要ないよ。どんな手で来ようと一切帝国には傷はつかない。何せここは私が造った城や城下町だよ」


「えっ?どういうことですか、師匠」


「柊、この国に転移してきたことを覚えているかい?あの時は秘密だと言ったけどそろそろ教えてあげてもいいかな」


私は柊に語る。この世界のこの帝国の始まりを。三百年前の王様は存在などせずそもそもこの国は三百年前に私たちが造り上げた国であること。私たちと表現はしたがまだ煉獄のことは教えることができない。まだそこまで強くないからね


「私たちはある場所を本拠地にしているんだ。でもさすがに其処からだと移動や情報収集なんかにも支障が出るからね、ここにまず建物をたて、何百年もたっているように見せかけて世界の各地から亜人を集め、人族の孤児をたくさん集めてこの国の住人にしたんだ」


私の説明に柊もオフィリアも静かに聞いている。そのまま私に話の続きを促す


「だけどね、しばらくすると人族たちは自分達こそがこの国の最高位の種族にふさわしいと唱え始めたんだ。だからこそ私も動いた。失敗だったよ。やはりモドキどもが一から人族を生み出しただけはあると思ったね」


「それで、どうなったの?」


「殲滅したよ。一人残らず。柊に一つだけ私は嘘をついた。この国は人族は一人もいない。いるとすれば柊、君一人だ。もちろん私も違う。すまなかった騙すような真似をして」


しばらくは、シンとした空気が漂っていたが柊が口を開いた


「師匠、顔をあげてください。私が今さらそんなことで暴れだすとでも思っているんですか?そこまで子供ではありませんので。なので師匠のことは許します」


「ありがとう、柊」


「ちなみにこの帝国の玉座に座れる条件は一つだけ。誰よりも強いこと。亜人たちは性格なんかも含めた実力主義だからね。まあ、実力主義だからって弱いものを見下すなんてのは一切ないから安心して」


「オフィリアはどういった種族なの?」


彼女は私が鍛える前から人族の擬態が非常にうまかった。恐らく前世の人間としての感覚からくるものだろう


「私の種族は龍人。気高く美しい白い鱗をもつ白竜を先祖にもつ龍人の末裔です。今も世界のどこかに龍や竜の方々がいらっしゃるというお話です。今回の騒動が終わったら探索にいってみたいですね」


「龍人か~。この世界に生きる種族のなかでも上位に位置する種族だね。しかもそれぞれに細かい分類があるんだね。じゃあ、師匠は?」


「私の種族は秘密だ。二人がもっと強くなったら教えてあげよう」


二人は私の秘密発言に少し不満げだが強くなれば教えてもらえるということでさらにやる気が出たようだ


「そういえば、君たち二人とも大分美人になってきたね。これならいい旦那もすぐに捕まえられるんじゃないかい?」


彼女たちもあれから大分成長している。柊は一年弱の付き合いなので変わったところも少ないが、オフィリアとは長い付き合いなので小さいときから知っている


柊は綺麗な黒髪の肩までのショートヘアーだったのが今では腰の位置まで伸びているし、ほんわかしていた雰囲気もたれ目も髪が伸びたことでことでより一層大和撫子の雰囲気が増している


オフィリアも綺麗な金髪のショートヘアーだったのが柊と同じように髪を伸ばし、少しつり目なこともあいまってさらに色気が増してきている


「「そう思うなら、師匠が抱いてください。それですべて解決です。なんなら今からどうですか?」


この話題になるといつも決まって言う台詞を二人で合わせて言ってきた。私としては困ったことになるのでのらりくらりと名言を避けてきているが最近の楓との連絡で「そろそろ側室増やしてもいいよ」などと言ってくる


少し考え事をしている間に二人はじわじわと私との距離を詰めてきていた。なんとか逃げようとするとどちらかが回り込むように先にいる。戦闘に関しては敵などいないと自負するが、こと女性関係については恥ずかしながら経験はない。地球でも楓一筋で通していたのである


楓も世界樹のレンの存在で子供を強く意識し始めたので煉獄の独り身の女性に片っ端から私を襲えとけしかけているらしい。楓自信は私の子供がたくさんいるのが嬉しいらしく、またたくさんの家族がほしいと私に訴えてきていた


二人の好意にもずいぶん前から気付いてはいたが、お兄さんに向ける好意だと思っていたので正直あの発言はうかつだったというほかない


「わかった。私も覚悟を決めようか。今夜二人を抱こう」


恥ずかしくなった私はそそくさと自分の部屋に戻っていた


「言質はいただきましたよ、師匠‼お風呂で身を清めて向かいますから待っていてくださいね‼」


「私もすぐに向かいます。オフィリア、すぐに行きましょう」


私は風呂という単語で私も風呂に入っておかねばと変なことを考えている間に二人の姿は消えていた。楓に連絡をいれ祝福され、煉獄の住人たちもお祭り騒ぎになると言われ、楓ともいずれと言い、連合が攻めこんでくるかもしれないというこんな時期の穏やかな一日が最後の最後で墓穴によって初めての男女の営みに踏み切ることになってしまったのである

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