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煉獄の主、星の王  作者: 藤平東吾
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勇者筆頭と第三師団長の戦い

奴は翼にこめていた魔力を今度は全身に行き渡らせた


「貴様の力は今は脆弱でもいずれは我ら師団長を超えて魔王様の喉笛に噛みつくかもしれない潜在能力を秘めているようだな。見たところカーバインの連中の信仰している戦神シュヴァインの加護が色濃いようだな。貴様は危険だ。ここで死んでいけ」


「断る‼僕は魔王を倒しこの世界を平和に導くんだ‼」


二人は同時に動き出す


しかし戦闘に関してはホーキンスの方が長い経験がものをいう


次第に僕の方が押され始める


「くそっ、、、、、それなら‼」


僕は今持つ聖剣に僕の魔力を纏わせる。これで切れ味なんかが大幅に上昇する


「そんな小細工は私には通用しない‼」


僕は左手で持っていた盾を後ろに投げ捨てる。奴相手に盾で受けるなんてことは愚策だ


奴は笑う。奴は器用に自分の腕と翼を使い分けることで手を休めない


僕は襲い来る攻撃をひたすらかわす。限界突破をしてからの動体視力は今までの倍になっていると思う


ようやく奴の攻撃が収まる。僕は少し息が上がっているが奴は息一つ乱していない


「先ほどのスキルで肉体性能が段違いに上がっているな。こちらも少し力を入れることにしよう」


奴の魔力の濃度が上がる


次の瞬間、拳が目の前にきていた。慌てて首をひねってよける


よけたと思ったら拳で死角になっている部分に重なるように背後から片翼の攻撃が迫る


ここであえて前に出る。当たる寸前で背中側にためておいた高密度の魔力を解放し炎の丸い盾を作りだし下にそらす。ここで決める‼


「戦神シュヴァインよ‼今ここに悪なるものに浄化の炎を‼『魔法付与 聖炎』」


僕が今まで使えなかった魔法付与の聖炎が聖剣に纏われる。綺麗な金色の炎だ


「それはさすがにまずいな。『魔法付与 金剛力』」


奴も当然のように魔法付与を使ってくる


名前から考えて体を硬化させる魔法のようだ


「この一撃を持って滅びろ‼魔族‼」


僕の感情が高ぶっていくごとに炎の勢いも増す


奴も魔力の密度をさらに上げる。しかし僕の方が振り下ろすのが速い


しかし、焦ったことで剣筋は胴体からずれた。奴の左腕を切り裂きわき腹に深い傷を負わせた


「、、、、死ね。勇者」


しまった。奴は剣筋がずれたことを即座に理解し、僕に手傷を負わせて倒したと思いこませたんだ。底冷えするような奴の声が聞こえた僕の体は急速に動かなくなる


奴がゆっくりと右足を後ろに引き斜めに体を開く。その動きが僕にはスローモーションのように見える


奴の魔力に染まった真っ黒い右腕が僕の腹部に直撃する


「『蹂躙せよ 金剛黒拳』」


その名が告げられた後に急に現実に戻ったように動き出す


最後の最後でとっさに心臓に向かっていた拳を体を右にひねり左にずらせた。じゃなきゃ喰らった瞬間に僕は恐らく死んでいた


その代わりに僕の左の肋骨は何本かは折れたし、折れた肋骨が何本かは肺に刺さっているかもしれない


周りで戦っていた同級生の何人かが回復魔法をかけてくれている


奴も僕も満身創痍だ。僕の限界突破も奴の魔法付与も切れている


「ここまで追い詰められたのは久方ぶりだ。貴様、名は?」


「、、、、、古條 亮だ。」


「古條 亮だな。その名しかと覚えておこう。貴様は危険だ」


その時、僕たちの頭上に大きな影が出来る


ワイバーンに乗った新たな魔族が降りてきた


頭の両端から角が出ており、銀髪で肌が黒い男だ。それ以外はなんら人間と変わらない


「その姿はどうした、ホーキンス。遊びすぎたのか?」


その言葉の意味を理解したことで僕らは恐怖する


僕が左腕を斬れたことも奴が本気の全力を出していなかったからだ


「よぉ、なんでこんなとこにいるんだ。第一師団はまだ前線には出ないはずだろう、ヴァイン」


「ああ、だがお前の魔力の高まりを感じてここに来た。腕は回収しておけよ。その程度ならメイリンが跡形もなく元に戻せる」


そんな。苦労して負わせた傷が元に戻されるなんて


「仕方ないか。戻るぞ。人間の殲滅はいつでもできる。しかしホーキンス、お前の変わりは早々いないからな」


奴は仕方ないとばかりにため息を付く


「わかったよ。しかし、俺も重傷だ。そいつでメイリンのところまで運んでくれ」


「わかった。ではのれさっさと帰るぞ。異世界の勇者との初戦闘はお前だけだ。魔王様もきっと報告を心待にしていよう」


奴らはそのままワイバーンに乗り去る


残された僕らはあっけにとられている


僕はだんだんと怒りが沸いてくる


相手が本気でなかったことも。仮にも師団長をあそこまで一人で追い詰めた僕のことをヴァインと呼ばれた魔族は無視をしたこと。最後に完全に見逃されたことだ


いつでも殺せると言われているようなものだ


「くっそぉぉぉぉぉ‼」


奴らが去った直後に魔王軍は引いていき今回の戦は我々の勝利となった


僕らはすぐに駆けつけてくれたカーバインの騎士団の人たちに救護室に連れていかれた


僕は幸いにも肋骨が折れた程度ですみ、肺には刺さらなかった


治療魔法と神聖魔法で体はすぐに完治した


だがしばらくは無理をしないように言われてしまった


仕方ないか


でも、あいつら二人には僕を虚仮にしたことを後悔させてやる


そのためにも今回得たスキルや魔法付与に磨きをかけなければ


待ってろよ、僕が負ける訳がないんだから


なにしろ、勇者筆頭だからね



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「なあ、なんだったんだ。あの勇者。最初っから最後まで魔族に遊ばれてたな」


私は正直な感想を二人に伝える


「というよりも、手加減していたなんて丸分かりじゃない。よっぽど勇者たちは頭がお花畑なのね。特に魔族と戦ってた男が」


「彼らは一体、この一年をどう過ごしてきたんだ?私ですら手加減しているとわかったぞ。まあ、私もホーキンスとか言うやつには勝てそうもないけどね」


うんうん、いい感じに育ってきているね。実力差がわかることは殺しあいにおいて大事なことの一つだ


「二人とも、訓練に戻ろうか。実戦経験を積ませたかったけど変わりに面白いものがみれたからよしとしようか」


私が開いたゲートで帝国のオフィリアの私室に繋ぎ、帰路につく


現状の魔王軍の幹部の一部と勇者の戦いかたがみれただけでもよしとしようかな


さあ、帰ったら食事にしようか

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