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遊園地行かなきゃ非リアなんて誰が言った

作者: パルコ

タイトルは私の個人的な疑問です

 私はアパートで、彼氏と過ごしていた。

彼氏はエロゲー、私はエロ小説。しかも両方ホモ。

えぇ、そうです。そういうカップルです。


 彼氏のいつきとはバイト先で知り合った。斎はいわゆるオタクで、アニメやゲームを語れる友達はいたものの、当時高校生だった彼はあまり消化できなかったらしい。……というのも、斎がハマっているのはBLゲームだった。確かに普通の男子高校生は引いてしまうだろうなと思う。


私は、斎の2つ年上で高校時代からバイトしていた古本屋で今もお世話になりつつ心理学を勉強している。私もいわゆる腐女子で、語れる友達が出来たのは大学に上がってからだ。


 馴れ初めって言っても都内の高校に通っていた斎がバイトに入って、仕事を教えて、話が合ったからシフト終わりに語っているうちに、だんだんそういう仲になったわけで、別に大したものじゃない。現在、偏差値の高い大学で法律を勉強している斎はオシャレになってモテモテだけど、今も私にこうやって付き合ってくれて、とうとう3年目を迎えた。デートっていったらこんな風に、どちらかの部屋で、二人でBLにのめり込むだけ。外に出たことはほとんどない。


 ゲームが一区切りついたのか、斎がん~、と伸びをしていた。

あいさん、お腹へった」

斎の言葉に時計を見ると、もう2時を過ぎていた。この時間にガッツリ食べちゃうと、夕飯がキツいかも知れない。とりあえずキッチンで食べ物を漁っていたら、食パンを見つけた。冷蔵庫には卵と牛乳と、なぜか蜂蜜があったのでフレンチトーストを作ろうと決めた。


 フレンチトーストを食しながら、夏休みどっか行く? という話になったその時、斎が口を開いた。

「夢の国に10年行ってないって言ったら友達にヤバいって言われたよ」

「あーアタシもそんくらい行ってないよ」

夢の国は……確か6歳の頃に幼馴染と家族ぐるみで旅行に行ってそれきりだったと思う。そこから計算して……15年。これはヤバい。斎よりも危ない。「行く?」と私が聞くと「お金なくなるからいい」と返ってきた。

「え?」

「だってANGEL FACTORYが新作出すでしょ?」

「え? うそ?」

「ホント。『君の歌が聞こえる』がドラマCDになるって藍さん知らなかったの?」

「何だと!? ネズミの国なんか行ってられっか!!!」

斎のタブレット端末を借りて新作の情報を眺める。ANGEL FACTORYは有名なBLCDのレーベルで、そこが『君の歌が聞こえる』という漫画原作のBLCDを出す。原作コミックを読んだ私は、家出少年と歌手の卵が紡ぐ切ない物語にボロ泣きした。キャストもキャリアのある人気声優さんだ。これは買わずにいられない。いつの間にか夢のネズミ国のことはどこかへ飛んで行った。


 私が泡まみれのスポンジを片手にシンクで格闘していると「あのね藍さん」と斎に声をかけられた。

「うん? どした斎?」

「俺、藍さんといて凄く楽しい」

「うん……」

斎の唐突な言葉に、とりあえず頷いた。

「だからね、俺はこれでいいと思ってる」

朗らかな斎の笑顔は、あの童顔の若手声優に似ていた。

「そうだね、私もそう思うよ」

ロマンチックなデートも、テンションの高い友達とわいわい楽しむイベントも、魅力的ではあるかも知れない。けど、私たちは、趣味に熱中できて、趣味を共有できる人がいれば自分の世界が満たされている。


私たちは、これでいい。


改めて斎との時間を大切に過ごそうと思った、そんな夏の午後。

ずっと思ってたんです。

バーベキューとかテーマパークではしゃぐパリピが本当にリア充なのか。実ははしゃいでたのは最初だけで、あとは疲れて皆スマホやってるんじゃないかとか……。

色々上げてくと結局問答法になっちゃうんですよね……汗


なにはともあれ、ここまで付き合ってくださり、ありがとうございます!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 自分達が楽しければいいじゃない♪と思います。 ムリしてネズミさんに会いにいかなくとも。 [気になる点] 趣味にどちらかが飽きたら、こちらのお二人不安です。若いですしね。 趣味以外の時間でも…
[一言] ミートゥーミートゥー\(^o^)/ ぼくも昔はそういうことするのに躍起になっていましたが、まぁこの歳にもなると飽きるのなんのってね(^p^) パリピするのは良くも悪くも社交性が身につくの…
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