悲しさと、余興
はじめに、この作品に目を止めていただきありがとうございます!
諸事情により休止していた処女作ですが、
今回から改めて「ゆっくり」投稿をはじめます
こういうのってのんびり書けていいですね
「こちらエージェントチームA、受信した座標地点に到着、これより生徒の捜索を開始します」
小雨の降る街角の公園で部隊を率いる有咲は耳につけた通信機を使い学長と連絡を取る。
「今回報告のあったオグルはおそらくこれまでの通り魔と同一体と思われます、決して無理をしないよう生徒の保護を最優先に行ってください。」
学長の応答はその場にいる全員の通信機に伝わる。
たった一人の応答で、場の緊張感が何倍にも膨れ上がるのが手に取るようにわかる。
「了解しました、必ず生徒を保護致します。」
責任感の強い有咲から出たその一言は強い覚悟が込められていた。
(これまで被害にあった生徒たちのためにも、このチャンス、逃すわけにもいかないっ!)
今までの被害者は主に単独時に被害にあっており、生徒の安全を守るエージェントでも、その足取りが掴めていなかった。
「今回の目標は生徒の保護とオグルの浄化だ、生徒を発見した場合、直ちに保護したのち、速やかに連絡、撤退すること、ただし生徒より先にオグルと遭遇した場合、無理な戦闘は避け私たちか他のチームに応援を要請すること。いいな」
「はいっ!」
有咲の号令のより各自の捜索エリアに散らばっていく。
有咲自身もデバイスを操作し、自らの捜索エリアに向かった。
GSの卵である彼女達は学校での訓練の後、その資格を得て初めてガーディアンとの契約を結ぶことができる。
つまり学校外において少女たちは、ただの一般人とかわりないのだ。
(どこだ、どこにいる…!)
有咲の無慈悲な焦りが、鼓動を少しずつ早くする。
エージェントとして、リーダーとしての重圧だけでない、
何かは分からない、でも「何か」がいつもと違う、そんな気がして仕方がない。
顔は見えないが、学長からの言葉にはどことなく焦りを感じた、それが妙に頭から離れない。
「ピピッ」
モヤモヤした気分の中、デバイスが暗闇の中青白く光る。
『チームBより、メッセージを受信しました。』
それは応援要請だった。すぐにデバイスを展開し音声メッセージを再生する。
「こちらチームB!現在ターゲットと思われるオグルと交戦中!負傷者多数!直ちに応援を要……」
「…っ!」
突然通信が途絶える、最後にかろうじて聞こえた、重く鈍い音、静寂の中、デバイスを操作し、チーム全員に先ほどのメッセージの発信源を送信する。どんな状況であろうと決して焦りを表に出してはいけない。たとえそれが……、
「んっ?」
有咲の打ち込むメッセージが次々とエラーを起こす、デバイスにおいてそのような不具合はほとんど考えられない。ましてやすべてのメッセージが発信できない状況は聞いた事がない。
「これは……」
エラー修復を試みようとした時、ある違和感に気づいた。
しかしそれは「ある意味」気づいてはいけない違和感だったのかもしれない………。
凍るような空気が、「恐怖」をより一層体に伝えた。