受け継がれる、血筋
「次のニュースです。先週より発生している連続通り魔事件について....」
「おばあちゃんおはよぉ~~って、うわ!!!!」
時間の余裕と朝ボケが重なり、階段で足を滑らせた私は宙を舞い
そして....
「DaaaaaaaaaaaN!!!!」
落ちた。
「あらあら、まあまあ、」
「朝から元気ねぇ、目が覚めたら朝ごはん食べちゃいなさいよぉ」
「もぉ~ちょっとは心配してよ~」
朝食を持ったおばあちゃんが台所から出てきた
「しずくちゃんは昔からおっちょこちょいだから心配もしなくなるわよぉ」
「なにそれ~ アイテテテ、」
ちょっと痛めた腰を抑えて椅子に座り、まだ暖かい朝食を食べ始めた。
私の両親は私が幼い時に交通事故で命を落とし、それからおばあちゃんと二人で暮らし始めた、
その時の記憶は全く覚えていないが、小学校に入ってからその話を聞いた。
最初はもちろんショックだったが、今はおばあちゃんといることが当たり前のようになっている。
「今日は模擬実戦の日でしょう、大丈夫?」
「大丈夫大丈夫!今日こそはちゃんとやってくるから心配ご無用です!」
「それなら良いのだけれど、あまり無理はしないでね、」
(ア、これは心配してくれるんだ、)
こんな会話をしながら私の一日は始まる。
千夜おばあちゃんとは物心ついた頃からずっと一緒だからいつも苦労かけてるけど、今はとっても幸せ。
「あ、もうこんな時間、ごちそうさま!行ってくるね」
「行ってらっしゃい、気をつけてねぇ、」
「はーい、行ってきまーす!」
「あ!小春おはよー」
「あ、おはよう神代さん、」
「もぉ~雫でいいよ~養成所からの仲でしょ」
「う、うん、そうだね」
私と小春は養成所の頃からずっと一緒、引っ込み思案な子だけど昔から彼女といると凄く安心する、かな
「昨日はごめんね、夜なのに時間とらせちゃって、その、気にしないでね、」
「アハハ!大丈夫大丈夫!みんな一つや二つ悩みはあるって」
「うん、そうだね、」
戦闘用ガーディアンとの意思疎通に幾度と失敗した学者たちはさらに研究を進め、
その意思疎通には「血液」が関係していることが分かった。それも普通の血液ではなくある特定の血筋を持つ限られたものだった。
この血液を持つ子供たちは、拒絶反応も起こることなく実験は成功した。
政府はこれを女王クラリアより授かった血液「ロイヤル・ブラッド」と呼び、それを持つ子供たちを「ロイヤル・チルドレン」と呼んだ。
初めはそんな子供は勿論多くは無かったが、近年では私のような突然変異によって生まれる子もポツポツ出てきた。
政府はこれをプラスにとり、ロイヤル・チルドレンの能力をより高め、悪魔に対抗するため、養成学校を設立した、
それが今、私たちが通っている第一防衛専門学校 東京支部である。
この学校は全国に5ヶ所設立されていて、たまーに交流授業とかもやったりする。
正直生徒の数はどの学校を見ても多いとはいえない、
そりゃそうだ、ロイヤル・チルドレンしかいないんだもの、なのに無駄に学校は広い。
これはこの学校の七不思議の一つ、だったりする。
「そういえば、し,雫ちゃん、例の事件しってる?」
「例の事件??」
「うん、このあたりでロイヤル・チルドレンを狙った通り魔が出てるって、、」
「ア~、何かあったねそんなの」
「最近は学校も調査を始めたらしいから、ちょっと心配、」
「大丈夫でしょ!小春にはミィアがいるし私は……、」
「気合いで何とかなるっしょ!」
(神代さんらしいなぁ、、)
「私はそんな気合いはない、かな、それにミィアはママのガーディアンだし、戦闘向きじゃないよ、」
「確かにそっか、でもミィアのあの勢いだったら通り魔だって吹き飛んじゃうかもねw」
(確かにそうかも、)
「まぁそういうことは学校が処理してくれるだろうし私たちに何かあったらすぐ学校に連絡が行くから安心でしょ」
「早く行こ!今日の一限実戦だしね~」
「あ、まって、」
「……………。」