全ての、始まり
約百年ほど前、現在の首都の真下にあるプレートが突如として大きなズレを起こし、大地震が発生した。
その結果、首都はもちろん、その周囲の陸地までもがほとんど海に沈むという
いわゆる「大陸大沈下」が起きた。この災害で多くの人が亡くなってしまい、国も頭を抱えたが、問題はそれだけでは終わらなかった...、
それは、「悪魔の復活」
かつて一人の女性が国に蔓延る全ての悪魔を自らの体と共に封印したらしい、
彼女の名は〈クラリア・ラーナ〉
歴史書によれば、彼女は代々、悪魔を封印し続けてきたラーナ一族の最後の一人で、これ以上悪魔が侵食されぬよう世界中の悪魔を取り込み、そして裁かれた。
そのおかげで数百年は平和な生活が送れていたのだが、この大沈下のおかげでこれまで地中深くに封印されてきた悪魔たちが一斉に復活してしまった。
奴らは元々実体を持っていない、形を持っていない奴らがどう暴れるか、
そんなこと、いともたやすいことだ。
形のある人間を乗っ取ればいい
基本的に乗っ取られるのは悪意の欲がある人間、そういう人間の脳に入り込み思うがままに操っている。
正直、大沈下が起きてからというもの、日本中でそういった事例の事件が何倍にも増えた。
ただ、私たち人間も打つ手がなかったわけではない。
それはつまり、GS≪ガーディアンセクター≫の誕生だ。
沈下から五年後、一人の考古学者が沈下によって出来た大穴に入り、そこである設計図を見つけた。
初めは何か分からなかったが、研究の末、それがクラリアの残した悪魔に対抗する唯一の手段だとわかった。
政府は直ちにこれを買い取り、彼と共に解読を進め、遂に守護兵士≪ガーディアン≫を完成させた。
だけど問題はここから、
戦闘用ガーディアンは設計図によれば、単体では行動できず特定の人間との意思疎通によって本領を発揮するらしい。おそらく使用人を守ろうとする本能が働くのだろう。
何人もの研究者が意志疎通を試みたが不思議なことに誰も上手くいかなかった。
ちなみに、意志疎通に失敗すると、人間の脳に拒絶反応が起こり強烈な頭痛に襲われるらしい
私のいる2052年現在は技術の進歩により、アニマルタイプやメカニックタイプなど一般の人でも扱いやすいガーディアン(戦闘用ではない)が大量に普及され今では人とガーディアンが共存する世の中になっている。
ちなみにミィアは、小春の家のヒューマンプロトコルタイプ(簡単に言えばメイドさん、みたいな)の
ガーディアンだ。
「....、」
「........、」
「.............、」
「ガーディアンかぁ、」
「なーーんで上手くいかないかなぁ~~~~、はぁ、」
人間みんな思った通りに進まない事だっていくらでもある。
だけど私は、、
「しずくちゃ~ん、もう夜遅いから早く寝なさいよぉ」
あ、もうこんな時間、
本を読んでいると、ついつい時間を忘れてしまう。
「はーい、おやすみーお婆ちゃん」
私は部屋の電気を消し、ベットに潜り込んだ。
「はい、おやすみなさいね」
「.......、」
「.......。」
(私もいつか絶対、立派なGSになってやるんだから……!!)
でもこの時私はまだ何も知らなかった、
今、この国にある
本当の「闇」を……。