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THE world  作者: 海田陽介
4/6

どうすれば

 メールの着信音で僕は目を覚ました。いつの間にか日は暮れてしまったようで、部屋のなかは真っ暗だった。僕はあのあと、昼食を作って食べた後、妙に眠くなってリビングのソファーのうえで眠ってしまったのだ。


 僕はソファーのうえから起き出すと、歩いていって部屋の電気をつけた。それから、部屋の時計に眼を向けてみると、時計の針は午後の七時半を指していた。


 外の世界はまだ無人のままなのか、相変わらずしんと静まり返っていて、何も物音は聞こえてこなかった。眠る前と同じく、聞こえて来るのは僕の部屋の物音だけだった。冷蔵庫の駆動音と、それから時計の針が時を刻む音。


 僕はなんとなくヴェランダの前まで歩いてくと、そこから見える外の景色を眺めてみた。一応、近くのアパートや民家の明かりは灯っていたけれど、でも、恐らくそれは、今日の午後、スーパーや駅で見かけた、ただ電気が灯っているだけのものなのだろうと予測された。この世界とはべつに存在している、現実の世界を反映しただけのものなのだ。恐らく。


 それから僕は自分がメールの着信音で目を覚ましたことを思い出した。僕は再びソファーまで歩いて戻ると、そこに置いてあったスマホを手に取った。そしておもむろにメールを確認してみる。すると、二件のメールが届いていて、それはいずれも及川美優からのものだった。


一件目のメールが届いていたのは僕が眠っていた午後三時頃のものだった。


美優「どう?あれから電話は繋がるようになった?今、小休止中。だから電話に出られるよ?」


二件目はついさっき届いたものだった。


美優「さっき啓介に電話してみたんだけど、電話繋がらなかった。もしかしてまだ電話圏外なの?……まさか、啓介、ほんとうに異世界とかいるわけじゃないよね?気になるから、このメールに気がついてるんだったら、すぐ電話して!」


 僕は美優からのメールを読み終えると、無駄だろうと思いながらも彼女に電話をかけてみた。しかし、予想通り、電話は繋がらなかった。僕はメールで彼女に今の自分の近況を伝えた。


僕「連絡ありがとう。僕もさっき美優に電話してみたんだけど、やっぱり駄目みたいだ。電話は圏外になってる。……今のところ、辛うじてインターネットは繋がるみたいだけど、もしかしたら、最悪、そのうちインターネットも繋がらなくなるかもしれない」


 僕がそうメールを送信し終えると、またすぐに美優からメールが返ってきた。


美優「ちょっと待って。一体何の話をしてるの?まさか、啓介、あなたほんとうに異世

界にいるっていうの!?心配なるから、変な冗談を言うのはやめてよね?とにかく、電話して」

 僕も届いた美優のメールに対してすぐに返信を返した。


僕「だから、何度も言うようにこれは決して冗談なんかじゃないんだ。僕としても何がどうなっているのかわからないんだけど、僕は今、異世界らしい場所にいるんだよ。電話は圏外になってて使えないんだ。僕は決して美優をからかって遊んでるわけじゃない。信じられないと思うけど、これはほんとうのことなんだ」


 僕が送ったメールの真意を吟味しているのか、あるいは今美優は移動中なのか、それからしばらくのあいだ美優からメールの返信はなかった。そのあいだ僕はもしかしたらテレビが点くようになっていたりしないだろうかと思って試してみたのだけど、やはりテレビは沈黙を続けたままで何も映像は受信できなかった。パソコンのインターネットは問題ないだろうか?そう思った僕がパソコンの電源を入れたところで、再び美優からのメールが届いた。


「ねえ、啓介、あなた本気で言ってるの!?あなたはほんとうに今、異世界にいるって言うの?」


 僕は彼女の問いにそうだと答えたあと、起動させたパソコンが問題なくインターネットに接続することができるかどうかを確かめてみた。すると、問題なくインターネットに接続することができたので、今度は僕はパソコンを使って僕がこの二日間のあいだに体験したことを、メールで美優に伝えた。


 僕が突然異世界らしき無人の世界へと迷い込んでしまったこと。異世界といっても、電話はべつとして、普通にライフラインは使えていること。ただ、どうやったらもとの世界へ戻ることができるのか、今のところ何もわかっていないこと。




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