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ヤンデレ?

ヤンデレと言われても逮捕されないように考えて行動している。

作者: 水宮 光姫

月夜の闇猫様のヤンデレ増殖企画遅刻作品。

「ヤンデレって一歩間違えると犯罪者だと思う」の杉浦視点。

短いです。

 彼女を初めて見た印象派は『綺麗』だった。

 スタイルはスレンダーと言えば聞こえはいいが、あまり凹凸のない体系。ストレートの黒髪は、背の半ばまである。顔の造作は、可愛い系よりは綺麗系だが、目を引くほどの美人ではない。

 だが、まとう雰囲気が、綺麗だった。

 冬の朝、地面に出来た霜柱。その大きめな氷が陽に煌くように。

 水溜りに薄く張った氷のように。

 どこか静謐で、固さと脆さを併せ持つその姿に魅せられた。


 そして思った。


 彼女を汚すのは自分だ、と。


 霜柱は足で踏んで楽しむものだし、道にある水溜りの氷は割るものだ。

 他の誰かに楽しまれたそれは、魅力は半分以下になる。


 ああ、でも彼女なら。

 怪我されても綺麗なままだろう。あの凛とした佇まいは変わらない気がする。

 それでも二番手・三番手に甘んじる気はない。彼女を汚すのも愛でるの慈しむのも傷つけるのも自分だけでいい。




 そして、ようやく手に入れた。



 道のりは長かった。

 どうでも良い女が群がってくる容姿も、家が資産家であるということも、優秀な成績も、全て彼女にはどうでも良い事のようで、何度話しかけても苗字すら中々覚えてもらえなかった。

 それでも諦めるという選択肢は無く、地道に外堀を埋めてようやく彼女は自分のものになったのだ。



 それなのに、彼女の心は自分にはない。




 閉じ込めて、愛と快楽を注ぎ込んで。

 何度も何度も肌を重ねて、自分を求めさせて。名前を呼ばせて、好きと言わせた。


 だが、熱が引くと彼女はあっさりと自分を拒絶する。

 あんな切ない声で名前を呼んでくれたのに、苗字で自分を呼ぶ。

 心は身体に引きずられる。

 何度も好きだと愛しているだの口にしていれば、それが本心ではなくても流される筈なのに。


 彼女の凛とした佇まいは変わらない。

 それに惹かれたのは自分。

 だから変わらないその雰囲気がとても嬉しくて……苦しい。


 俺のことだけを考えて欲しいと願っても、無理な事は分かっている。生きている以上、たった一つのことだけと考えていられるわけがない。それでも、その大半を占めるのは自分であって欲しい。


 だが、彼女の俺を見る目は、手に入れる前と殆ど変わらない。

 関係の無い他人を見る目だ。

 初めてを奪い、閉じ込めた自分に対して憎しみすら向けてくれない。

 身体が反応するのは単なる生理現象と言い切った。




 ああ、そうか。



 俺は、方法を間違えたのか。




 彼女の全てが欲しい。

 愛だけでは足りない。

 向けて欲しいのはそれだけではない。


 憎悪も、嫌悪も、愛も、恋も、憧れも、怒りも、全ての感情は俺に向けて欲しい。



 だから一度に全てを欲した。

 それが、間違いだったのだ。



 最初は一つでもいい。

 それから徐々に増やしていけば良かったのだ。


 さぁ、新しく始めようか。


 まずは苦痛と恐怖を与えてあげよう。






「俺を拉致監禁の犯人だと言うなら、それ相応の対応をしようと思ってね」

 そう告げた俺に、彼女はびくりと身体を震わせた。

 珍しく怯えた顔が、俺の心を震わす。

 全て手に入れて、俺なしではいられなくなった君はどんな表情を見せてくれるんだろう。




「ストックホルム症候群」

 ぼそりと呟かれた彼女の言葉に、笑った。





 ああ、とても楽しみだ。







 結局二人の名前は出てきませんでした。

 彼女の名前は「ヤンデレって一歩間違えると犯罪者だと思う」でも出てこなかったですし。

 勿論、私が名前考えるの苦手だからではないですよ?


 ちなみに話が短いのは表に出せないような部分が多いからです。

 きっちり書こうとしたらお月様行きです。


 お読みいただき、有り難うございました。

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