元の姿に
霊夢「ほら、もっと集中しなさい!」
「やってるよ!簡単に言うけど、これけっこう難しいんだから黙ってて!」
紫「……。」
「元の姿に!元の姿に戻りたいぃ!戻るんだぁー!」ピカーッ
光りだす天照。
霊夢「なっ、何!?」
紫「この光は!?」
「うぅっ!わおーーーん!」ピカーッ
天照が吠えると光はより一層強くなり、辺りを眩│(まばゆ)く包んだ。
霊夢「今の光は一体?」
紫「霊夢、あれを見なさい!」
そこには先ほどまでいた狼の姿はなかった。そこにいたのは、光に包まれた白い髪の少女だった。
「ふふふ!ふーはははは!ついに、ついに、念願の元の姿に戻ったわ!」
霊夢「あれが天照の本当の姿なのね。」
紫「……。」
「霊夢~!ゆかり~ん!元の姿に戻ったよ!」ピョンピョン
飛び跳ねる天照。
霊夢「良かったわね、天照。ほら、紫も何か言ってあげなさい。」
紫「かっ……。」
「かっ?」
紫「可愛い~!」ギュウウ!
「むぐぅ!」
抱きしめられる天照。
紫「どんな姿なのか気になっていたけど、こんなに可愛かったなんて~。そうだわ!天照、
貴女、私の式にならない?」ギュウウ!
「むぐぅ!むぐぅ!(胸が、顔に!息が出来ない!」バタバタ!
霊夢「紫、それ以上抱きしめたら天照死んじゃうわよ?」
紫「そっ、そうね!ごめんなさい、天照!」
「おっぱいホールド怖い」ガクッ
紫「天照~!」
霊夢「まったく何やってんのよ。まぁ、良いわ。お茶淹れてくるから紫は天照のこと見てて頂戴。」
紫「わっ、分かったわ!」
数分後
「うぅっ!胸が、胸が迫ってくる!はっ!」ガバッ
紫「あら、気がついたのね天照~。良かったわ。」
「ゆかりん。あれ?霊夢は?」
紫「今、お茶を淹れているわよ。それで私が天照を見てるように言われたの。」
「そうなんだ。ところで、ゆかりん?」
紫「なにかしら、天照?」
「どうして、私はゆかりんに膝枕されてるの? 」
紫「このままじゃ痛いかと思ったから。嫌だったかしら?」
「嫌じゃないよ。でも、ちょっと恥ずかしいかなぁ……なんて思ったり。」
紫「良いじゃない。誰も見てないんだから。」
「まあ、そうだね。」
紫「……」
「……」
紫「ねぇ、天照。こっち向いてくれない?」
「ん?なに、ゆかりん?」
紫「天照が頑張って、元の姿に戻ったから私からプレゼントをあげようと思って。」
「プレゼント?」
紫「良く頑張りました。」
ズギューン!
「…っ!?」
紫「ふふふ。」
「あぅぅ!」ボンッ!
紫「あらあら、赤くなっちゃって可愛い。」
「何やってんのよ!ゆかりん!」
紫「嫌だった?」
「嫌じゃないけど、こんな不意打ちみたいなの反則だよ。」
紫「それじゃあ、もう一回。……ね?」
「うっ…うん!」
チュッ
紫「んっ。天照。」
「紫…。」
この時、天照は霊夢が来ないことを祈った。
紫「ふふっ。可愛いわ、天照。」
「あぅぅ…。」
紫「神様って言っても、人肌が恋しくなるわよね。」
「あの…ゆかりん…もっといっぱいして?」
紫「あらあら…良いのかしら?ここ、神社なのよ?神聖な場所で、こんなことして。」
「お願い。ゆかりん、じゃないと私襲っちゃうかも知れない。」
紫「あら、それは大変。なら、そんな悪い神様にはお仕置きしなきゃ。」
「んっ。」
チュッ
紫「ふふふ。」
霊夢「……何いちゃついてんのアンタ達。」
「ふぇ!?れっ、霊夢!?」
紫「あら、もう戻ったの?」
霊夢「なによ、もう少し遅い方が良かったかしら?」
紫「私は別に、構わないわ。でも天照は、どうかしら?」
「あぅぅ!」ボンッ!
霊夢「随分と変わった神様ねぇ。」
紫「あら、そこが可愛いんじゃない。」
「……ぐすっ。」
霊夢「!?」
紫「!?」
「二人の、意地悪。」
霊夢「……(キュン)」
紫「…(ズギューン)」
「二人とも?」
霊夢「いえ、なんでも無いわ。」
紫「ごめんなさい、ちょっと考えごとをしてたのよ。」
「?」
こうしている間にも人影は、風のような速さで博霊神社に近づいていた。




