スキマ妖怪と狼
霊夢がそういうと空中のスキマは、まるで霊夢の言葉に従うようにゆっくりと開いた。開いたスキマの中を天照は見た。
「うわっ!なにこれ、気持ち悪っ!」
霊夢「でしょうね。見慣れたとは言え、私が初めて見た時もそう思ったわ」
スキマの中には目のようなものがギョロギョロと蠢いていた。
「こんな気持ち悪い空間の中に良くいられるねぇ。その紫って妖怪、よほどの物好きとみた。」
「まあ、そういう種族なんだからしょうがないんじゃない?」
?「随分と好き勝手に言ってくれるじゃない、霊夢。」
スキマの中から聞こえる声
霊夢「あら、紫いたの?」
?「いたわよ!」
霊夢が言うとスキマの中から、その声の主は現れた。しかも、ものすごい勢いで。
?「まったく。霊夢は私をなんだと思ってるのかしら…。」
霊夢「もう…すねないでよ紫。」
?「すねてなんかいないわ。」プイッ
霊夢「すねてるじゃない。」
「もしも~し、霊夢さぁ~ん。私はスルーですかぁ?」
霊夢「あぁ、ごめんなさいね。こっちの紫色のが、あのスキマの持ち主の」
紫「八雲紫と申します。以後、お見知り置きを。」
自己紹介をした後、深々とお辞儀をする八雲紫。
霊夢「紫、その口調やめなさいよ。胡散臭い│(うさんくさい)わよ。」
紫「初めて会う人に対して失礼の無いように接するのは、常識よ霊夢。」
「…………」
霊夢「どうしたの、天照?」
紫「?」ボイン
「すっ、すごく…大きいです。」
霊夢「天照……アンタねぇ。」
紫に見とれる天照と呆れる霊夢。
「だっ、だって霊夢!神様とは言え私も女の子なんだよ!……気になるよ。」ガクッ
霊夢「でも今の姿、狼だから関係無いじゃない。」
紫「……その、天照様?」
「天照で良いよ、ゆかりん。」
霊夢「ゆっ!?」
紫「ゆかりん!?」
「駄目かな、ゆかりんって呼ぶの?」
紫「いえ、構いませんが。」
「私は天照。これからよろしくね、ゆかりん。それと、できれば霊夢と同じように接してくれない?私たち、友達なんだからさ。」
霊夢「……天照。」
紫「わかりました。……いえ、分かったわ天照。」
手を出す天照
「ゆかりん、握手しよ。」
紫「えぇ。」ギュッ
紫「幻想郷へ、ようこそ、天照大神。」
霊夢「あらら、私は置いてきぼり?」
「霊夢も、はい。握手しよ。」
霊夢「改めて、よろしくね天照。」ギュッ
「ところで、ゆかりん。」
紫「なにかしら?」
「なんで天上界にスキマがあったの?」
紫「あぁ、それはね……」
賢者説明中
「つまり寝ぼけてて、あんな所にスキマを出したと?」
紫「えぇ、ごめんなさい。でも悪気があった訳じゃないのよ?」
「まぁ、間違いは誰にでもあるからね。それは別に良いよ。でも……。」
霊夢「天照?」
紫「天照?」
「寝ぼけてって言うのは、許せない!」
紫に向かって走り出す天照。
紫「ちょ、ちょっと天照!?」
「紫~っ!」ガバッ
紫「きゃあっ!」
「天罰よ!」むにっ
紫「んっ!」
「ふふん、どう紫?」
紫「やっ、やめっ!」
「ぐへへ、これが良いのか~い。」
ドゴッ
「痛~い!」
霊夢「いい加減にしなさい!」
「だって、ゆかりんがぁ!」
霊夢「もう良いでしょ、そのことは。」
「あうぅ。」
紫「はぁはぁ」
霊夢「ほら、しっかりしなさい紫。」
紫「とっ、とにかく次のことを考えましょう。」
霊夢「そうね、天照もいつまでも狼の姿ってわけにもいかないでしょうから。」
「そうだね、私も早く元の姿に戻りたいよ。」
霊夢「じゃあ早速考えましょ。」
次回……天照が元の姿に!?そして飛来する黒い影!お楽しみに!