油揚げと狐と
「なにか無いかな~?」
一通り飲んだ私は今、おつまみを求めていた。流石に飲んでばかりじゃヤバいし。
「おっ、良いもの発見!」
目の前にはお皿に乗った油揚げが一枚
「最後の一枚かな?誰も食べないなら、いただきま~す!」
パクッ
「かぁ~!美味いっ!」
正直、油揚げ一枚だけじゃそんなに美味しく無いだろうと思っていたけど、意外とイケるね。
?「あーっ!私の油揚げ~!」
声のした方を見ると九本の尻尾を生やした狐のような女の人がこっちを見ていた。
?「すいません。それ、私の油揚げ……。」
「あっ……ごめん。」
やっちゃったよ。どうしよ…
「えっと、あの、」
紫「天照~。」
「あっ、ゆかりん。」
?「紫様。」
紫「あら、藍。ここにいたの。」
どうやら狐の人は藍という名前らしい
紫「どうしたのかしら?二人して深刻そうな顔して。」
「私が、藍さんの油揚げ食べちゃったんだ。」
紫「なんだ、そんなこと。」
「どうしたら……。」
紫「簡単なことよ。藍、我慢しなさい。」
藍「はい、紫様。」
「ごっ、ごめんなさい藍さん!私のせいで…。」
藍「いえ、構いません。貴女が天照様ですね、紫様からお話は伺っております。」
「そんな様付けで呼ばなくても良いよ。なんだか、こそばゆいよ。」
藍「いえ、紫様のご友人とあらば無礼な態度で接する訳にはいきませんので。」
「真面目なんだね。」
藍「改めまして、八雲藍です。紫様の式で紫様の周りのお世話をさせて頂いています。」
「天照大神だよ。油揚げ食べちゃって、ごめんね。」
藍「もうそのことは大丈夫ですから。ね?」
「うっ、うん。これからよろしくね。」
藍「こちらこそ、よろしくお願いします。」
つづく




