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『有効』のとき来る
うるせえなあ、と手を払うしぐさのホーリーが、情けない顔でアルルにすがったネイブをおもしろそうににらんだ。
「安心しろ。おまえは売り飛ばされたんじゃなくて、身代わりにさしだされただけだ」
「もっとひどいっ!!うあぁぁん!じいちゃんのおおばかやろおお!!こうなったら、帰って問いただして、がつん、とぶん殴ってやる!!」
どさくさにまぎれて退却しようとしたその背中を、見えない手が引き、もどされる。
「 残念だな。ネイブ・シンプソン。 この契約書の文字がこうして浮き上がったってことは、『契約書』が有効になっちまったってことだ」
「うそだうそだうそだうそだうそだうそだうそだうそだああああ」
耳をふさぎ、頭を振って否定し続けるネイブの前に、いつのまにか小さな黒い影が立っていた。




