昔話のつづき
なぜだか、先ほどの『契約』という言葉がネイブの心臓を騒がせていた。
「 ―― だから。・・帰るのは無理だ」
アルルがすまなそうな表情を、かたむけた。
『どうして?』と、ネイブは聞けない。
だって、――
――― あの子どもが・・おれのことをわらってる。
なあネイブ、とひどく優しげな声で呼び、ホーリーは、嬉しそうに微笑む。
「《帰れない理由》を、優しいこのおれが教えてやる。 いいか?あの昔話には続きがある。 目の前でディークをやっつけたこのおれに、ディルは自分を従者にしてくれと頼んできた。おれは、嫌だった。 なにしろ《ディークの従者》を、手に入れたばっかりだったし、それになにより、見るからにやつは、仕事にむいてなさそうな性格だったからな。 願い事をかなえてやるから帰れといったのに、やつはしつこかった」
「・・・・」
「おれが、キラ種族の生き残りだというのを認めたとたん、おれの生活を知りたいなんてことをぬかしやがった。 結局、おれの許しは得ないまま、やつはおれのところに来るようになっちまった。望みどおり与えてやった役場の仕事を終えるとここにきて、城の中をすみからすみまでコソコソとさぐりまわった。 それだけでなく、勝手に食器だの色んなものを、持ち出した」
「・・なさけねえ・・」
げっそりとした孫のひとことに、ホーリーが、ぎゃははは、と笑い膝をたたく。




