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明日は誕生日
突然、アルルが思い出したように聞く。
「なら、―― さっき言った性格の悪い『上司』というのは?」
ネイブは一度いいかけ、それを戻してから、あらためてゆっくりと口にした。
「・・『上司』は、・・親父だけど・・・親父とは、・・あんまり、仲がよくないんだ。 おれは、すごい『じいちゃん子』で、うちは、ばあさんとかお袋がもういないから、男所帯なんだけどさ。親父は、昔っから、じいちゃんのこと、悪くしか言わないし、おれと仲がいいのも気に入らないみたいだし・・・」
「だろうな」
「え?」
「この仕事に出されるとき、その『上司』になにか言われなかったか?」
「え?ああ、いつもと同じで、『間違えるな』『地図と書類をよく確認しろ』あと、『これが最後の仕事かもしれない』なんて脅されたから、こんな嵐の中でもまじめに仕事してたんだ。 とにかくここでの仕事を終えたら、この書類の束を叩き返して、さっさと帰るよ。 おれ、明日、誕生日だしさ」
明日、ここではなく、自分の家で祝うのだと、遠まわしに伝える。




