昔話はじまる
――――― ※※※ ―――――
むかしむかし、あるまちをとおった旅人がいました。
名前はディル・シンプソン。
働くのがきらいななまけものの青年で、『抜け道』をつかわずに、ただひたすらに、道を行く変わった男でした。
とある場所の森の中。
ディルが歩いていると、なにかがひどくさわぐ声がしました。
『 おいてめえ、きづけよ、さっさとこい、このまぬけ! 』
―――――――― 。
なんだかひどい言葉だったので、聞かなかったことにしようとしたのに、彼のお守りの《青い炎》が、許しませんでした。
ディルがしかたなく、そのうるさい声をさがしてみると、近くの木の根元に、古いツボが埋まっていて、どうやら声は、その中から響いてくるようです。
―― よくないパターンだ。
男は、直感でそう思いました。
うるさいツボに近付くと、さらにその上に土をかけはじめ、踏んでかためてその場をあとにすることにしたのですが、またしても、彼のお守りがさわぎました。
《炎》は元々説教臭い特性があるのですが、ディルがあまりにだらしのない男だったので、心配した彼の父親が特注でつけた青い炎のお守りです。
炎の説教に負けた男がもどって土を掘り返し、さわぐツボに言いました。
「 おまえ、何か悪さをして、閉じ込められているんだろ? そんで、なにかうまい話をしておれをだまして、そっから出せとか言うんだろうけど、おれは、出さないぞ」




