かわいそうなネイブ・シンプソン
「お、おれのせいじゃないよお!!この書類を元にさがしてたんだから!」
黄ばんだ紙をあわてて取り出し突き出した。
顔をしかめた子どもが、ち、と舌打ちすると、ネイブの手からそれがするりと抜け、ホーリーの手元へとぶ。
「 あん?役所の書類かあ? ・・・やくしょ・・・おい、ガキ、おまえのおやじ・・いや、じいさんの名前は?」
「じいさんのなまえ? ディル・シンプソンだけど・・・」
ああやはりな、とすぐに返したのは、ネイブがくっついてる男のほうだった。
口元を覆い、眉根をよせてみおろしてくる。
「 ほお。 ノーム種族で、役所で、《ディル・シンプソン》? はん。どうにも懐かしいな 」
鼻で笑うような子どもに、じいさんを知ってるのか、と聞こうとしたら、アルルが口を挟んだ。
「おいホーリー、かわいそうだから、先に説明してやったほうがいい」
「『かわいそう』?なんだ、アルル、おまえ、そのガキ狙ってるのか?」
「 そういうわけではない。 ネイブは役所の仕事の延長でここに来たのだ。税金の督促でまわって、 ―― 最後が、ここになっている」
あぐらをかいて聞いていたホーリーが、げたげたと下品な笑い声をあげた。
「そりゃあいい!かわいそうなネイブ・シンプソン! 税金の督促状の一番したには、自分の督促状を持ってまわってたなんて! なるほど!では、このホーリーが、おまえの間抜けなじいさんと知り合った顛末をはなしてやろう!」




