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棺
「・・・・あれ、って・・・」
ネイブが部屋の真ん中に見つけたのは、おもちゃに埋まるように置かれた黒い箱。
色とりどりの玩具に彩られた異質なそれは、どう見ても棺だった。
―― まさか・・・・。
背中につめたいものが走る。
自分の隣でそれを冷静に眺める男は、やはりこの城の主を ―――。
「あいかわらず、寝起きが悪い」
棺をみすえ、顎をあげたアルルが、足元の積み木を蹴飛ばし前進。
ブーツで玩具を蹴散らしながら道をつくり、その棺までたどり着くと、がつん、と何のちゅうちょもなく、箱を蹴飛ばした。
「な、なんてことを!」
死者には敬意をもって接することをじいさんに教え込まれているネイブは、ぬいぐるみに足をとられながら、そこへ突進した。
アルルは棺の蓋に手をかけている。
「やめろ!なんて失礼な!」
ずれた蓋を、すべりこんで押し戻した。
「いくら自分で手をかけたからって、棺をあばくことはないだろう!」
またしても蓋が動き、ネイブはそれを押し戻す。




