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鍵をだせ
「あたし?スネイキーよ。 あなた、おバカさんぽくっていいわ。 きっと、おいしい男になるはずよ」
「おいしい?」
「アルルが珍しくあたしにプレゼントかと思ったら、ホーリーになのね」
残念だわ、と細く冷たい指先がネイブの頬をなで、長い爪がぴたりと顎の下にあたる。
ホーリー?と口の中で繰り返し、ああそうだ、とようやく先ほどの落下の前を思い出す。
それと、アルルの《階段の下り方》も。
石の壁と床の冷えたその部屋には、ネイブがいるソファと壁をくりぬいた場所に大きな蜀台がいくつもの小さな火を灯しているだけで、他には何も見当たらない。
部屋の真ん中には先ほどの階段の終着地点があり、そこに腰掛けている男に文句をつけずにはいられなかった。
「あのさあ、ちょっとひどいと思うよ」
「あのやりかただと早いだろう? まさか気絶するとは思わなかった」
「うっ、べつに、怖かったとかじゃなくって、び、びっくりしたから、」
「そうか。悪かったな」
いきなり女が笑いながら、ネイブのいるソファにこしかけた。
「ちょっと、聞いたあ? あの男が『悪かったな』ですって!」
「 スネイキー、 鍵をだせ」
立ち上がったアルルの命令に、ぴたりと笑いが止まる。




