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また空き家
―― あそこか?
見つけたのは道から奥に入った赤い屋根。
窓はよろい戸が閉められ、煙突からの煙もない。
この嵐で早々にベッドに入っているのか、もしくは、空き家か。
たどりついたドアを、叫びながら叩く。
「もしもーし、モッシュさ~ん。納税局です。あけてくださーい。そんで、溜め込んだ未納の税金、払ってくださーい!」
どんどんとすがるようにドアを叩くが、中からは何の反応もない。
ためしに回したノブが動き、押し開いた中へ足を踏み入れる。
「 なんだよ。やっぱり空き家か・・・」
湿って埃くさい家の中を、持ち歩いてきたランプでみまわす。
『まーた、空き家でしたねえ』
手にしたランプの中の、青白い炎がしゃべった。
「 うるせえ。 だいたい、ほとんど空き家なのはわかってんだよ。 税金滞納してて、同じ場所に住み続けると思うか? おれでもトンズラすんね」
『それで、保安官に捕まって、《下の国》行きになりたいと?』