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従者は『魔法使い』
「腹は減ってる?」
「それほど。これって、ラムジイさんの魔法?」
「いや。わたしは魔法は使えない。あなたたちがいうところの『お守り』で、わたしの従者は、『魔法使い』なのさ」
「・・・すげえ・・・」
勝手に現れた、焼きたてのスコーンにジャムも、うまそうだ。
だが、話に聞いた『魔法使い』は、かなり気性が激しく、主人となるべき相手が弱そうならば、主従の契約を結ぶ前に、魔法で消してしまうときく。
先ほどの、吠え声を思い出しても、容易に想像がつく場面だ。
コートの中のランプを撫でながら椅子に座れば、アルルが鳴らした指の音で、濡れた帽子とコートが消えた。
一瞬背筋が冷える。
向かいの椅子に座った男が優雅に笑い、ネイブが抱え込むランプをテーブルに置くようすすめる。
「 わたしの客人には、絶対に手をださないようしつけてあるので、安心してください」
「・・・う、ん・・」
信用するしかないだろう。それに、コーニーが助けてくれなかったから、こんなとこまで来ちゃったわけだし、と勝手な理屈をつける。




