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ディーク種族
唇を必死で結んだネイブにも、その声がよく聞こえる。
「 ―― それ以上、そのノームをからかうつもりなら、覚悟をもつんだな。 そいつは、ミドロイトゾーンから来た『役人』で、仕事の途中だ。 戻らなかったら、誰かが調べに来るだろうし、中毒になって戻れば、抗議がくる。 誰宛にくるか、わかるか?」
酒場の奥のほう、黒いシルエットのそれが、ゆっくりと前に出てきた。
黒く長い上着と、小さな帽子。
―― 今度は、ディーク種族か?
ノームと同じような賢さをもちながら、凶暴性があるため、ミドロイトに住むことは許されていない種族だ。
数も少ないので、今は他の種族と共同で暮らしていると聞いたことがある。
ロウソクの灯りに見えたその顔は、なかなかきれいに整った顔で、周りにいる毛深く強面のウルヴと同じ場所にいることに違和感がある。
いまだに手を放さない連中を、一渡りみて、ディーク族の男が片手をあげ、指を三本立てた。
「わ、わかった!!もう、やめるよお」
あわてふためく男たちがネイブをはなし、恐れるように店の隅へと逃げ込む。




