第3話 ヤマタノオロチ
備前から都を目指すことにした桃太郎一行であったが、ドラキュラとの戦いということもあり、周り道にはなるが、出雲大社で必勝祈願をしてから京の都を目指すことにした。
「ここが出雲か。もっと賑やかな街と聞いていたが、人っ子一人歩いていないではないか……」
出雲の国に入った桃太郎一行であったが、閑散とした街の光景に違和感を感じていた。
「旅のお人よ、外にいては危ない中に入りなさい!」
桃太郎一行が茶屋の前を通ると、茶屋の女将さんは桃太郎一行をお店の中に入れ扉を閉じた。
「おい、女将、これは一体どういうことだ?」
「知らないんですかい? スサノオノミコトが退治したというヤマタノオロチが復活したんですよ! 時折街に現れては、人をさらって喰らってしまうんです。それで今では誰も外を歩けなくなってしまい、困ったもんですよ」
茶屋の女将の話を聞いた桃太郎一行はヤマタノオロチを退治することを決意した。
茶屋の女将からヤマタノオロチの住処を聞いた桃太郎一行はさっそくヤマタノオロチが住むという地蔵峠に訪れた。
「おい、ヤマタノオロチよ出てこい! この桃太郎様が相手してやる!」
桃太郎が強気に挑発すると、頭が八体ある大きな大蛇が現れた。
「桃太郎だと! あのピンクの痛いハッピ着て鬼退治を行った、いかがわしいお店の客引きみたいな奴のことか?」
「この野郎、人を歌舞伎町の客引きみたいに言いやがって! お前は許さん!」
桃太郎は頭に血が上り、腰に刺していた太刀を抜いたが、隣にいた犬がアドバイスを行った。
「桃太郎さん! 一気に奴の頭を切り落としたら、エンタメ性ゼロと評価されてまた映画化が遠のきますよ! 4人でレッドカーペット歩くのが目標じゃないですか!」
「犬よ、わかっている。ちょっとカチンと来ちゃって……。では、例の新フォーメーションで行くぞ!」
桃太郎一行は円陣を組んでコソコソ話していたかと思うと、ヤマタノオロチの前で8の字のように動き出した。
「急におかしな動きを始めやがって、やはりただのバカか。喰ってやる!」
ヤマタノオロチは8本の頭で桃太郎たちを追い回すが、桃太郎たちはすばしっこく、なかなか捕まえられず、逆に8本の頭が複雑に絡まってしまい固結びのように首が締まって窒息死してしまった。
こうしてヤマタノオロチを退治した桃太郎一行は出雲大社で必勝祈願のご祈願を済ませ、都に向かって歩き出すのであった。