最終話 お盆の先祖帰り
無事にメデューサを人間に戻すことができた桃太郎一行は備前に帰り、またみんなで生活を始める。
「なあ、桃太郎、早く子を設けよう! 物語の雪女は人間と10人も子を設けておる。わたしたちもその記録を抜くために子づくりせねばな」
またもや、桃太郎の寝ている布団に入り、桃太郎を誘惑する雪女。
「ちょっと待って、まだ朝だし、今、お盆の時期だから死んだお爺さん、お婆さんも魂として帰って来てるかもしれないし、この時期はダメだって!」
「よいではないか! お爺さん、お婆さんとやらにも見せつけてやろう! きっとお爺さん、お婆さんも安心するぞ!」
「いや、育ての親に見せるとかトラウマになるし、ぜったい心配されるって!」
雪女に抱き着かれ、必死に布団から逃げようとする桃太郎。
その光景を見てしまったメデューサは怒りに震え、魔眼殺しのメガネを外そうとする。
「ちょっとメデューサちゃん、まって、あたしが注意するから!」
全員石化される危険があると感じたかぐや姫が桃太郎と雪女を注意する。
「ちょっと、あんたたち、いい加減にしなさいよ! 桃太郎もメデューサちゃんのいる前で何やってるのよ!」
「なんじゃ、妬いておるのか。かぐや姫、お前も一緒に交わればよかろう。わたしは構わぬぞ!」
「え、一緒にって……」
メデューサは顔を真っ赤にして、その場に倒れる。
「ちょっとメデューサちゃん大丈夫、サル君、メデューサちゃんのおでこに水で濡らした手拭い置いてあげて! あと、玉藻の前、あんたも雪女を注意しなさいよ!」
かぐや姫はキジに扇子で扇がせ優雅に桃太郎と雪女を眺めている玉藻の前も注意する。
「何を怒っているのじゃ、かぐや姫! 皇帝にでもなれば、ハーレムぐらい当たり前じゃ! お前やメデューサも雪女と一緒に桃太郎に抱かれればよい! 早く堕落した桃太郎が見たいものじゃ!」
「あんたもダメだわ! 完全に腐ってやがる! コイツらを仲間にしたのは確か……」
かぐや姫は犬を見つけると犬の首に腕を回し、犬の耳元で小声でつぶやく。
「てめぇ、この物語の責任取れよ! でなきゃ、潰すからな!」
犬は顔面蒼白になり、桃太郎に人魚姫の伝説を話して再び西洋に旅立つことを提案し、雪女の興味を逸らそうと頑張るが、雪女は一向に桃太郎から離れない。
家の中にはかぐや姫の怒号やら、それを見て笑う玉藻の前の笑い声やら、とても賑やか。
「お爺さん、桃太郎が一人で寂しく暮らしているかと思いましたが、こんなに賑やかで安心しました。来年のお盆には孫の姿が見れるかもしれませんよ!」
「……。あ、ああ、そうじゃな」
お婆さんは賑やかに過ごしている桃太郎に安堵し、お爺さんは賑やかとは違う感じがして、少し不安を覚えたが、もはや知ったことでもないかと思い、お婆さんの言うことに相槌をうち、また来年のお盆に訪れようと話しながら天界へと帰っていくのであった。
めでたし、めでたし……。




