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異世界の初期設定はバグだらけ。せっかくなので最強ステータスにしてみました。  作者: くるとん
第一章 ふて寝したら異世界に来てしまったようで
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008 唯、お姫さまと話す。

「ユイさんは本当にお強いんですね。あんなに大きなモンスターを相手に、たった一発の魔法で…。」

「本当にたまたまで…魔法もあれしか知らないですし…。」

「ご謙遜を。私にはわかります…本当は高名な魔法使いの方なのですよね。ねぇ、タンク。」

「はい、姫様。私もそう思います。」

「いえ…ですから…。」


 お姫さまと話してる私。

 初めての経験なのはもちろん、こんなに褒められると…もう大変。

 ほっぺも耳も真っ赤だし、緊張しっぱなしで会話の内容が全く入ってこない。


「姫様。そろそろヒマワリの町に到着となります。」

「わかりました。」


 町まであと少しといったタイミングで、衛兵さんのひとりが駆け出した。


―――あぁ…先ぶれっていう役なのかな?


 詳しくは知らないけど、「偉い人が来るよー」って知らせる役割だと思ってる。

 そんな先ぶれさんに対応してる門番のお兄さん。

 話は伝わったみたいで、門番さんが飛び上がって町へと走っていった。


 お姫さまに聞いてみると、町長さんに知らせに行かれたのでしょう…と教えてもらえた。

 そっか、町長さんとかいるんだよね。

 当たり前のことなんだけど、異世界すぎて忘れてた私。


「ユイさん、申し訳ありませんが…こちらで少しお待ちいただけますか?」

「はい。…あの、立ってた方が良いですか?座ってた方が?」

「ふふふっ、大丈夫ですよ。お好きなように。」


 優しい微笑みを浮かべてくれるお姫さま。

 ちょっとずつ緊張はとけてきたけど、さすがにお姫さまが立ってるなか…座ってるのは変な気がする。


 しばらくすると、白いおひげをたくわえた男性がやってきた。

 その後ろには…。


―――ギルドマスターさん!?


 理由はわからないけど、反射的にお姫さまの後ろに隠れた私。


「ガーネット姫殿下。ヒマワリの町へようこそお越しくださいました。私、この町の町長を仰せつかっております…パンプキンと申します。以後、お見知りおきくださいませ。こちらはギルドマスターのクロックです。」


 深々と頭を下げた町長さん…もとい、パンプキンさん。

 紹介されたクロックさんも、丁寧な所作で頭を下げてる。


―――わ、私…大丈夫だったのかな…?


 お姫さまへの無礼を心配し始めた私。

 今更だし社交界の礼儀作法なんてわからないし…仕方ないのかもだけど、結構ヤバいことやってた気がする。

 あ…言葉遣いも良くないよね…。


―――おヤバいこと…?いや、違うな…。


 焦りやらなんやらで、大混乱な私。

 あたふたしていると、クロックさんと目が合っちゃった。


「ご紹介にあずかりました、ギルドマスターのクロックです。…って、ユイ殿!?」


 見つかっちゃった…。

 何と説明しようか迷っていると、タンクさんが助け舟を出してくれた。


「実は道中、モンスターに襲われてな。危ういところをユイさんに助けていただいたのだ。改めてお礼申し上げる。」


 ぞろぞろと集まっていた町の皆さんから、感嘆(かんたん)の声があがった。


「ユイさんって…クロックさんに勝った魔法使いだよな?」

「そうそう。ジャイアントさんも倒してたし、あのお姿はあくまでも世を忍ぶためのものらしいぞ。」

「お姫さまを助けちゃうなんて、やっぱり名のある冒険者なんだ。」


 否定したいのはやまやまなんだけど、今はそんなタイミングじゃない。

 ひとまずはペコリと頭を下げて…恐縮しっぱなしの私。


 ちなみにクロックさんからは…熱いキラキラの視線が届いてきてる。

 お姫さまの前じゃなかったら、大変なことになってた気が…。


「では、ガーネット姫殿下。(やかた)へご案内いたします。こちらへ。」


 パンプキンさんが(うやうや)しく頭を下げ、お姫さまを用意された馬車へと案内してる。


「ユイさん、こちらへ。」

「…は、はい。」


 手を引かれて、そのまま客車に乗りこむ私。

 衛兵さんのひとりが咳払いでとめようとしてたみたいだけど、お姫さまのジト目な視線一発で明後日の方を向いてた。

 というわけでわけもわからず馬車に乗った私。


「あの…良かったんですか?私まで乗せてもらっちゃって…。」

「もちろんです。恩人にお礼をしないなどとなれば、それは王家の名折れです。ユイさん、何かお望みのことはありますか?非力な私ですが、私にできることであればなんなりと仰ってくださいまし。」

「いえ…私はただ、冒険者として当然のことをしただけで。」


 お姫さまにお礼を言ってもらえただけで、十分すぎるというもので。


「ユイさんはお強いだけでなく、お心まで清いお方なのですね。」


 どんどんと話が大きくなってきちゃうので、ちょっとだけ強引に話題転換。


「あの…お姫さまはどうしてヒマワリの町へ?」


 思いつき程度の質問だったけど、思わぬ方向へと話が進んじゃった。

 なんでもお姫さま、国王であるお父さんから「冒険者として町の防衛の経験を積みなさい」との命を受けたそう。

 トラはかわいい我が子を谷に落とす…とかなんとか、そんな言葉を思い出していたんだけど、現実はそんなものじゃなかった。


「私には兄がおります。…要するに、次期国王はもう決まっておりますので、私は政略結婚のコマでしかありません。」


 なんとも悲しいことを口にしたお姫さま。

 なんでも嫁ぎ先は武勇で名をはせたお家みたいで、それなりの心得が求められているのだそう。


「お姫さま…。」

「ごめんなさい…こんな暗い話をして。そろそろ館のようですね。」


 強引に話題を変えるように、明るくふるまったお姫さま。

 でも、表情は暗いままだった。





―――すご…。


 豪華絢爛な装飾の数々、なんとか宮殿みたいな柱。

 壁にかけてある絵は…私の目には横棒が一本描かれているだけに見えるんだけど…きっと目ん玉飛び出るくらい高価なものなんだと思う。

 館はまさに来賓(らいひん)用といった、超絶豪華な雰囲気だった。


 お姫さまの周りをタンクさんたちが固めているので、対面する場所に腰をおろした。


「先ほどはお助けいただき、ありがとうございます。お礼を差し上げなければならないのですが、何分(なにぶん)旅の途中…。タンク。」


 タンクさんに目配せをしたお姫さま。

 すると、タンクさんはカバンの中から高級そうな紙を取り出した。

 それを受け取ったお姫さま、何か書いてる。


「こちらは王家の紋章(もんしょう)が入った添え状です。これをお持ちになれば…何かと役立つと思います。ユイさんほどのお方であれば、不要かもしれませんが…私にできることはこれぐらいですので。」

「ありがとうございます。」


 丁寧にお礼をして、ありがたく添え状を受け取った私。

 これからはもし怪しまれてもこれを見せれば良いわけで、私としても結構助かるものだと思う。


―――異世界転移のチートアイテムかも。


 誇張なく、それくらいのレベルだと思う。

 添え状は例のごとく自動収納されたみたい。


「ユイさん。私はしばらくこの町におります。もしよろしければ、お茶なりとも。」





 お姫さまに見送られ、館を後にした私。

 何か忘れてる気がするんだけど…。


「あっ!そういえば依頼の途中だった!」


 いろいろあって、依頼のこと完璧に忘れてた。

 大慌てで胸ポケットから依頼票を取り出し、制限時間とかを確認する。


「よかった…制限とかはないんだ。えーっと、ギルドに向かえばいいんだね。」


 依頼を達成したら、ギルドに報告するのがこの世界のルールみたい。

 そのまま一応小走りでギルドへと向かった私。


 途中、たくさんの人に声をかけてもらえて…テンション爆上がり。

 呼び止められまくって、ギルドに着くまで30分もかかっちゃった。


―――でも…なんだかうれしい。


 おだてられたら空も飛んじゃうくらいな私。

 音痴なスキップとへたっぴな鼻唄の二重奏でもって、ギルドの扉を開いた。


「ユイ殿。」

「はい。」


 ギルドに入るなり、クロックさんに呼び止められた。

 ちなみに「殿」呼びだけど…もう諦めました…。


「つい先ほどガーネット姫殿下から書状が届きまして。こちらをユイ殿に、とのことでした。手続きをお願いしたい。」

「お姫さまから。」


 クロックさんの手には、スターがキラキラと輝いていた。

 魔法を一回使っただけで…なんだか申し訳ない気がする。

 そんなこんなで…まだレベル1の新人な私、スターを2つも持つことになっちゃった。


「では、私は町長に呼ばれておりますので。これで失礼します。」

「ありがとうございます。えっと…お気をつけて。」


 師匠呼びはやめてもらえたものの、まだまだ待遇(たうぐう)がおかしい気がする。

 クロックさんはこの町のギルドマスター。

 ギルドはもとの世界でいう役所みたいなところで、そこのトップがギルドマスター。

 ちなみに私、レベル1の冒険者。


―――おかしい…絶対おかしい…これがバグステータスの影響…。


 ひとまず受け取ったスターを冒険者証に張りつけてみた。

 ちょっと豪華な雰囲気が出てきて、満足な私。


「おとと…。」


 うれしくてどたばたしたら、ステータスが開いちゃった。

 そして、驚きの事実が発覚する。

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